思いの外
「よしっ、やりますか!」
「あら、元気になったみたいで嬉しいわ。じゃあ早速」
バンッ!!!!
目を疑う紙束の量。
「あ、あの〜。この量は一体何の資料何でしょうか……。金銭面は統括会が持つ契約を交わしていますが……」
「入学希望者の履歴書よ。ああ、その束は魔法使いだけにしてあるから」
バンッ!!!!
「コッチがどっかから嗅ぎ付けてきた一般人の履歴書ね」
「これは、これはまたすごい量だな」
「ミーラークールー」
「事はお前さんが思っとる以上に大事だと気付けて良かったな。ほれ、そんな顔をするでない。どうせ適性がなければ意味は無いんだ」
「じーー」
「な、なにかしら。白夜」
「べっつに〜」
「変な子ね」
「そう、結局は全員が全員錬金術士になれる訳じゃないわ。日にちを何日か設けてテストしていったほうがいいと思うわ」
「でも私」
「分かってる。やる事があるんでしょ。時々帰ってきて様子を見に来てちょうだい。その都度連絡はするから」
「はい、何から何までありがとうございます」
「いいのよ、憑き物が落ちたからかしらね。楽なのよ」
「良かったのでしょうか」
「うっ……」
「アナタ達が気に病むことじゃ全くないの。むしろ白夜、ティア、ありがとう。1人だったら一生奴隷でした」
「燈火さん」
「ほ、ほら!暗い話はもうおしまい!ティア、これからどんどん忙しくなるわ!」
「ええ、楽しみですね!」
「ねぇ、ミラクル。ママさっき、ウゲーって顔してたのに今楽しそう」
「仲間と一緒だからじゃよ」
ミラクルの言葉がピンと来ない。そんな白夜の頭を乱暴に撫で回して「いつか分かる」そう言った。