朝
「うわぁ!も、もう!ビックリさせないでよ!」
のそぉっと這いつくばってリビングで何やら朝食を作っているクレアちゃんに声をかけます。
欲望を言っただけかもですが。
「そんなつもりはありませんよお〜、ふぁ〜」
相当体が疲れていたのか少しだるさが残りますがクレアちゃんが朝からこの家にいると言うだけで幸福です。
「はぁ、いいわ。何食べる?」
フッと息を吐いて私の目線に合わせる様にしゃがみこんで聞いてきます。
クレアちゃんの問に私は思わず元気いっぱい答えてしまいます。
「サンドイッチ!」
「具は?」
苦笑いしながら頷いてこのアトリエの食料事情を訪ねます。
正直覚えてないのでクレアちゃんに確認してもらいましょう。
「冷蔵庫に何ありますっけ」
「チーズと、ベーコン。卵にナニカの肉?それと多分魔物の鳥、かな」
魔物の鳥、少し前に師匠がコレで食費抑えれるなとか言ってたヤツですね。
「あー、そのナニカの肉は翼の生えた蛇のヤツですね」
「それって、ケツァルコアトル?……まさかね」
クレアちゃんがブツブツと何か言っていますが、私には分からない価値が有るのでしょうか。有るんでしょうね、知りませんけど。
「まあ、それはいいとして、クレアちゃんは朝ごはん食べちゃった?」
「ええ、アナタと違い規則正しい生活してますから!」
誇らしげにドヤ顔をしてくれて可愛いなぁと、思いますけどクレアちゃんと一緒に朝ごはんを食べられないという事実に突き当たり、憂鬱が込み上げてテンションが下がってしまいました。
「そっか、仕方ないね……」
「ああ、もう!分かったわよ!紅茶を頂くわ。私はティアに朝ごはん作ってあげるから、アナタは私に紅茶を入れなさい」
クレアは頬を少し赤らめて早口でまくし立てました。
クレアちゃんが気を使ってくれたこともそうですが、気を許してくれてる気がして嬉しくてつい飛びついてしまいました。
「クレアちゃん…………!」
「ああ、もう!そんな顔するなー!」