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バケモノ
アルトリアが纏う魔力の質が変わった。
ずっと魔力を練っていたのか、魔力量がオーラとして溢れるほどに膨れ上がる。
「私の祖先はジャックフロスト。一時的に先祖返りできるのよ」
そう言って全身が雪化粧の様に白く、淡い姿へ変わる。
溶けてしまいそうなほど白い髪。
触ん事すら許されぬ肌。
吐く吐息で空気中の水素が凍りつく。
「うつくしい」
思わず出てしまうほどだった。
暗く陰鬱な表情だったものに一筋の朱が混じった。
彼女は誤魔化すように右腕を振りかぶり前え突き出した。
その時腕から前方へ雪崩のような吹雪が視界の全てを奪った。
意味がわからないほどに白い。
「やるなら言ってよ!殺す気!?」
シーフォートもちゃっかり側へ回避していた。
前にも見たことがあるんだろう。
魔力を解放したあたりから逃げてきていたらしい。
「いやはや、コレは充分」
「な、充分化け物だろ」