回戦
クローンの燈火を目の前にモタモタしているティア達を後目に、リーナーは冷静だった。
いつも破天荒であられるのはティアさんの良い所だ。
そして、欠点でもある。
周りが見えないのだ。
迷いがない分、成功を引き寄せる性分であろう。
しかし、それが危ういのだ。1人でやらせるにしても何とかできてしまうのであろう。
ミルクショコラという強力なドラゴンを2体も従えているのだから。カリスマもある。
でなければこの私が守ろうだなんて思わない。
シーフォートは意外と落ち着いている。
状況が読めている。
この窪んだ立地で、不利な位置にいる事も理解しているだろう。
今もジリジリと足を擦るように前進している。
睨み合い。
「シーフォート、今度は全滅させなさい」
「やってやるさ!」
「いいですね!?」
「分かってる!常に冷静に、だろ」
「フフ、よろしい」
「なんでいつの間にか仲良くやってんのよ」
私とシーフォートのやり取りに不安げなアルトリアさん。どうもまだ私達のことを認めきれない様子だ。
仲間意識が強いのはいいが、少し硬いな。
「ねぇ、全滅……なんでしょ?思いっきりやるから」
「バックアップしましょうか」
「ありがと、それはいい事ね。で、3人で相手するの?」
「はい、勿論でございます」
相手は精々50人。手練はいなそうだから余裕でしょう。
そう言えばアルトリアはゲンナリした。
「やっぱおかしいわアンタら」