表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師ティアのつくる話  作者: 新規四季
35/988

師匠の言伝

「あー、ちょっと待ってくださいねー」


さて踏み出そうという時に待ったをかけるのは気が逸れますけど、大切なことがある気がします。


「今度はなに?」


前のめりになっていたクレアちゃんは声をかけられて転びかけます。

ムスッとした顔で私を見てきます。

怒ってますよアピールが可愛いです。


「いえ、師匠がなんか言ってた気がするんですよ。何でしたっけね」

「重要な事だったりしないわよね」

「どうだったでしょうか、重要かそうでないかの判断がつかない時に言われた気がして」


こう、喉の奥に突っかかるようなモヤモヤ感。

目をつぶって、頭をグリグリと刺激してもフワッと出ては消えていきます。


「……この辺の草すら素材として使うのかしらね」


必死に思い出そうとするティアをなんとも言えない表情で見ながら、クレアはその辺に生えてるどう見ても雑草を、価値あるものなのではと疑っていた。



「思いだしました!こっち来てください!」

「もう、忙しい子ね」

「そうですよ、何故か昔、お前が1人でここに来ることがあったら2本並んでる木の後ろにある物を使えって、言ってたんですよ」


目の前には大きな木が2本門番のようにどっしりと構えています。

なにか装飾がある訳でも、特別な感じがするでも無いただの木。

それでも近づけば木の周りだけ空気が冷たいです。


「へーって、重要な事だったじゃない!まるで、」

「ええ、いなくなる前提の話し方ですね。嫌になる。とは言え木の後ろってどっちの木だと思います?」


そう、居なくなった時を見据えた発言ですね。

そうなる事が確定してたのか、本当に万が一に備えてたのか。多分前者でしょう。

ここまで来れば、意図して私の前から居なくなったも同然です。腹も立ちます。

もうこれは1発殴って差し上げないと気がすみません。何がなんでも見つけ出してやるんだから。


「どっちも掘ればいいじゃない」


フツフツと怒りをその内に宿していれば、クレアちゃんは片方ではなく、両方掘って確かめればいいと言うでは無いですか。間違いなく、天才ですね。


「それもそうですね、ミルクショコラ!お願い!」

「クォーッ!」


ショコラは返事してくれるんですけど、ミルクは無口さんです。

御二方がフワフワ浮いて木の後ろの土を掘り返します。

そうして出てきたものは……


「コレは……」

「モノクル?」


片眼鏡でした。

しかし、レンズは膜のようなもので触れることはできません。

縁は黒いですが、光を通さないほど、深い闇。

首から下げれるような装飾が、してありました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ