マリー4
皆様は穏やかな顔をされています。
心に余裕があるのでしょう。
名のある人達は眩しくて、押し潰されてしまいそう。
裏世界の街並みには人は居ません。当たり前ですが。しかし、建物の中や、お店の中を見ると生活感が出ています。
「不思議?」
顔に出ていたのか、日ノ本さんが聞いてきます。
キョロキョロとしすぎていたのでしょう。
初めての裏世界で舞い上がっていたようです。恥ずかしい。
「はい。世界で唯一管理ができている場所だからでしょうか、人の気配……みたいな物を」
「少し前までは居たのよ、人が」
「それは住んでいたという事ですか?」
「仕事場みたいな感じかな」
「梅ちゃん!こ、この木の枝少し採取していいですか!?」
「少しならいいわよ。何がいいのやら……」
「ティア様の目にはどう写ってるのだろう」
興味を引いたのか、アルトリアさんが日ノ本さんに尋ねました。
「ここではどんな事があったの」
「どういう意味での質問?」
「仕事の内容と放棄した理由」
「世界はリスクと共にある」
「魔物ですね?」
「ああ。あれらは表には決して出せない。だから各国は裏世界に繋がるゲートを探し、管理し、維持する」
「それが出来るのは異能者。つまり魔法使いね。だからこそ有能は重宝され、低能は蔑まれる。表に生きることが難しいことをわかっていてもね」
「……日本以外の事情は分からないけど、日本では魔法使いは珍しい。私の事だけどね。日本人は陰陽師が多く、彼らは封印を得意とする。過去の超人的な陰陽師が結界を貼った。その場所はここ、京都なの」
「結界の外は他の裏世界と変わらないわけなの?」
「そうよ。でもね裏世界の資源を確保出来たのは私達だけ」
「あの、資源って何を指すんですか?」
「表に存在する全ての物資+魔法的物質とかね。まあ、魔石とかよ」
「なるほど……」
「で、それらを捨てた理由は?」
「理由はコレよ」
目的の場所に着いた。
そこは鳥居がひとつ立っていて、鳥居の中はさらに別の空間へ繋がっているよう。
なにより次元が歪んでいた。
封印だと、そう理解出来た。
理由はこの先にある。




