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記憶と人格
「リーナーさん。私は一体誰なんスかね」
「ミホさん」
「長い夢を見ていた気分ッス。でもやけに現実味があって……」
「口調が変わっていました」
「え?」
「ミホさんは常に何なにッスと最後まで言葉を口にしません。なのにここに来てから攻撃的な口調だったのですよ」
「うーん、記憶に無いッスね……」
「もしかしたら無くした記憶と……」
「と?」
「その人格なのかもしれない」
「あー、今喋ってる私が偽物ってことに━━━━━」
「馬鹿な事を言わないでください!!」
「っ!」
「す、すいません……。貴女はミホさんだ。……記憶を取り戻しましょう」
「でもっ」
「その上で!その上で不安を無くす解決をしましょう。きっと、記憶を戻すのは今、ここでしか出来ません。それに、私達には頼もしい人が付いているではありませんか」
「……あ」
「困ったら錬金術師に頼りましょう。きっと」
「うん、きっと」