無知の啖呵
玄関を開けるなり、謎の黒い生物と白い生物が私に飛びかかってくる。
見た目はちっちゃなドラゴンだ。
そして、ゴツゴツしてて痛いけど、可愛い!
「ただいま!ミルク、ショコラ!」
白い方をミルク、黒い方をショコラと名付け飼い始めたのですが、いい子過ぎて困ってしまいます。
あと、可愛い!
「うわぁ!そ、そういえば謎の生物がいたんだったわ。この子達はホムンクルスで合ってる?」
ショコラがクレアちゃんにカパッと大きな口を開けて威嚇……なのかな、をしちゃうので、クレアちゃんがビクッとなります。
クレアちゃんがショコラをじーっと見ながら聞いてきます。
「知らないわ」
「あそう。色々聞きたいことはあるけど……そうね、お茶もらうわ」
自分の家の様にリラックスした様子でクレアちゃんがそう言って、あちこち動き回ります。
あまり掻き回されても困りますから、茶葉の場所と必要そうなものの場所を伝えます。
「ケトルは台所。茶葉は後ろの引き出しね」
「分かったわ。って、すごい種類ね、何種類あるのかしら」
引き出しを開けたクレアちゃんが驚いたように言います。関心も混じっていそうですね。
何だか嬉しいです。
「ああ、それ。師匠が何飲んでも無味って言うから、ムキになって色んな茶葉を掻き集めて使ってたのよ。終ぞ美味しいとは言ってくれなかったわ」
何種類も掻き集めると、匂いとかが混じってしまうので、師匠に頼んで、超小型隔離空間ボックスとやらを作ってもらってその中に入れています。
そうする事で鮮度を保ちつつ、匂いの混同を防げます。
「素直じゃないだけだと思うわよ」
「そうかしら」
クレアちゃんがリビングにて、お紅茶を飲みながらのんびりしているのを横目に、爆発系とは何かを考えます。答えは出ないので、レシピを当てにしようとしますが、どこに何があるのかよく分かりませんね。
「さて、どこかにレシピは無いかしら」
「え、待ってそこからなの?」
私の独り言を聞いてクレアちゃんがこっちを向いて絶句しています。
人が本当に驚いた時の顔を見れて何だか得した気分です。
「?当たり前じゃない。何も知らないんですもの」
「よくその状態で啖呵切ったわね。はあ、いいわ、それっぽいのを統括会や、魔道図書で探してくる」
クレアちゃんは大きなため息をついて、立ち上がって、資料を探してくると出かけようとしました。
「クレアちゃん……!」
「べ、別にアンタのためじゃないわよ!これは、そう!仕方なく、仕方なくよ!アンタと一緒にいる私まで無能扱いされたくないからね!」
私が感極まって、クレアちゃんを見れば、真っ赤な顔で、わーわーと何か言っていますが、嬉しくって抱きついてしまいました。
すると、どうでしょう。クレアちゃんは、分かったから、と言い、出て行ってしまいました。
「行っちゃった。レシピというか、材料を知りたかったんだけど、伝わってるかしら。火薬とか化学物質とか……まあ、いいや」