ブレット戦闘スタイル
「迷った。見た目全部一緒なのやめろよな」
「おい、そこのお前。ここで何しているのだ」
「あ?」
「キサマだ!答えねば切る」
「はぁ?チッめんどくせーな……陰陽師のオッサンに会いに行くんだよ」
「それは変だな」
「はぁ?お前大概に……あっぶねぇな」
ブレットの後ろから声を掛けたのは女だった。
ツリ目でブレットを睨みつけている。
警戒心が強い猫の様だ。
女とブレットのやり取りは何か根本が噛み合っていない。
互いに歩み寄らず、とうとう女がいつの間にか手にしていた刀でブレットに斬りかかった。
その上からの一太刀を難なく躱すと、ブレットは杖を顕現させ、低速、低温の巨大な炎を女に向けた。
魔力である程度操れる魔法だ。
低速と言っても大きさ的に避けるのは難しい。
建物を燃やさないように戦うとなると必然後ろに下がるしかない。
女はブレットの事をこの魔法で中距離の炎属性と認識した。
炎の中を突っ切って、突きのモーションでブレットに迫った。
女は価値を確信し、ニヤリと笑う。
そして、ブレットは杖を剣に変え、横薙ぎにして弾いた。女の持っていた刀は圧倒的な膂力の前に握っていることすら叶わなかった。
ノックバックを喰らい、両手が上にあがり、防御姿勢が取れておらず、足は地面から浮いていた。
「正当防衛、正当防衛」
剣を消滅させ、握り拳を作る。
ブレットはクレアの様に新しく魔法を使える様になっていない。
なぜなら、その必要は無いからだ。
ブレットの右腕が赤い魔力を纏った。
踏み込んで、ただ腹に一発。
それだけ。
それだけで女は建物の壁が玩具で出来ていると錯覚させる程に吹き飛んだ。
「日本ってヤベーな」