行きましょう
「さあ!クレアちゃん!行きましょう!」
何もわからないですけれども、分からないならば人一倍動かねば!それに、一度だけ行ったことあるあの景色をもう一度……。
「い、行くってどこに!そもそもアンタ錬金術まともに使えないでしょ!」
クレアちゃんは全く抵抗してないにもかかわらず、口だけは否定してきます。
言動があんまり一致しませんね、この子。
「成せばなる成さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなり!」
「なんて?」
「日本語通じないのね、そう言えば。要はやる前から諦めるのはつまらないって事よ!」
「……それが分かりきったことでも?」
急に足を止められると、引っ張ってる私にも影響が出るんですよ、具体的には前のめりに倒れるとか。
膝の埃を払って、クレアちゃんに向き直ります。
「変な事言いますね、未来でも見えるんですか?そうじゃなければ1万の失敗の先に成功があるかも知れないのに?諦める?勿体ないですよ、その考え。ふふ、いいじゃないですか。もし不安でも今度からは私がいますからね!」
「なっ、なんなのよ、もう……。それで、行くってどこに行くの」
いつも暗めな顔だったクレアちゃんに光がさしました。お目目もパッチリ開くようになりましたし、何より照れたように笑う顔が素敵です。
「クレアちゃん……!」
「あー!もう!鬱陶しいわね!その視線!やめなさいよ!」
「むぎぅ、えっとですね、行くんですよ」
抱きついたら、照れくさいのか、恥ずかしがっちゃったのか、押し返そうとして来ます。
というか、顔を抑えられて変な声出ましたけど。
「だから!どこに!」
「裏世界へ!」
「は?」
「その前にアトリエですけどね」
クレアちゃんは一気に冷めた、というか、青ざめて。
私は意気揚々とクレアちゃんを引っ張って、装備を整えるために一時帰宅です!