リーナーとソフィー
「これ」
「重大なことでも書いてある?」
「さっぱり分かんないです」
「うっ、私にはなんて書いてあるか読むことも出来ないわ」
「でも、話したり出来ますよね」
「リスニングはね。それこそ何ヶ国か話せないとやってけないでしょ。ティアだって最低限日本語と英語話すじゃない」
「今なら古代語、ラテン語、ヘブライ語とかも教えられるぞ?」
「ひっ、ミラクル。アレはもうやりたくないの」
「便利そうですけどね、強制的に知識を植え付ける魔法?ですよね?」
「なんじゃ、リーナー。お主体験してみたいと申すか?」
「い、いえ結構。勉強は自分から知るからこそ面白いと思う質なので」
「それっぽいこと言って逃げましたね」
「そ、ソフィー?私にだけ当たり強くないですか?」
「むー、無自覚なんですねッ」
「え、ええ?私、何かしてしまいましたか?」
「……ブレット、彼は何をやらかしたの?」
「あー、多分統括会での事かな?」
曰く、ティアと一時離れていた時に、個別で依頼を受けていた時。
リーナーは何時呼ばれてもいいようになるべく簡単な仕事をこなしていた。
全くしないというのも、腕が訛ってしまう。かと言ってガッツリとヘビー級の仕事を入れると、ティアからの呼び出しがあってすぐに迎えなくなってしまう。
統括会のロビーで悩んでいるところ、授業(補習)終わりのソフィーに会った。
特別優秀でもなく、何か一つ突出していた訳では無かったソフィーが、ティアと出会い、ティアの為にやれる事を他の邪念や、劣等感などに惑わされずひたむきに進み続けた結果、特進科へ編入することになった。
今まで一般科Cだったのに、急にエリートコースに乗った為に先生方から補習として、勉強を詰めていた。
そこで、リーナーは労いの意味も込めてカフェへ誘った。
ソフィーも何だか照れくさいながらも嬉しそうにその誘いに乗った。
ここまでは良かった。
しかし、リーナーは人当たりがよく、また、優男である。つまりは結構モテるのである。
自身が優秀なのもあるが。
色んな女がアレヤコレヤと話しかけ全てに応じ、蚊帳の外になり、カフェ所ではなくなって、癖癖してしまった。
魔法に関して、教わった事もあるし、それが今に生きている部分もある。
ソフィーにとって先生でもあり、少しだけ好意も寄せていただけに、蔑ろにされたと思ってしまったのだ。
いつかチクリとトゲを刺してやると、ブレットを捕まえて延々と愚痴った事があった。