好奇心のままにいざ
「これが門。裏世界へと続く創成物ね」
支部の地下にはどデカい部屋がありました。
全体的にほの暗く、何となく夜を連想します。
門は円形で、よく分かんない文字が書かれています。
真っ黒な膜のような何かが貼ってある。気持ち悪い。
今は遠くから見ていますが、結構な人数が行き来しているように思えました。
「創成物、ってことは私でも作れるんですかね。それよりも、裏世界ってなあに?」
「そこからよね。黙って行くと怒られるのよね、今度にしましょ」
私の作れる発言は華麗に無視されました。
しかも、後半の言葉も結局は答えてくれませんし。
ならば、とる行動はひとつです。
「よし、行きましょう!」
「ダメって言ってんでしょうが!」
私が門に向かって駆け出そうとすれば、全体重を乗せて、止めてきます。
「じょ、冗談じゃありませんか……」
「じー」
「……ほら、他には何があるんですか?」
き、気を取り直して、紹介の続きをお願いします。
だから、すごい力で手を握るのやめてもらっていいですかね。痛いです。
「……次ね、魔法使いの活動拠点よね、さっきまでいた支部は魔法使いの仕事の斡旋をしてる場所」
クレアちゃんは歩きながら支部の説明をしてくれます。
「ハローワークみたいですね」
「う、うーん。嫌な例えね」
率直な感想は不評でした。
ドンピシャだと思うのですが。
「だって、よく分かんないですから」
「そうよね、端折りすぎ感は否めないわね。魔法使いには位があって、下は第3から第1。その次は花の名前。その次に師匠の位の星座。その上は神の領域で、時計と最後に色」
「はー、沢山ありますね。私の師匠は何に当たるのでしょうか」
「創成者ね。例外よ。権限なんかは色と同等と聞くけど何せ普段は姿を見せないから本人しか分からない部分が多いのよ。あんたの方が詳しそうなのに」
「質問してる時点で察して欲しいです」
「そ、そうね。色んな人がいるんだから、こういうケースもあるわよね。うん、次」
そして、電車で移動。
途中にクレアちゃんは駅のホームで何も無い壁に向かって歩き出した時は錯乱したのかと思いましたが、魔法使い専用の駅へ繋がっていました。
カモフラージュだそう。
「あんまり来ないと思うけど、研究所兼学校。魔法統括会よ。すごい人達の巣窟ってだけ伝えるわ」
見る人によって姿が違うらしいです。
ちなみに私は、某ネズミの国の城の様な、眼鏡をかけた魔法使いのお話に出てくる学校の様な見た目なのですが、クレアちゃん曰く、ビルが建ってるだそう。
本当に人によって違うらしい。
なにかカラクリがありそうですが、じっと見ているとたまに建物が少しだけ揺れたように見えました。
「入れないんですか?」
「入れるわよ、入れるだけ」
曰く、お偉いさんは凄腕の魔法使い達らしく、一般人よりのクレアちゃんではまず会えないとのこと。
試したことは無いそうですけど。
「なるほど、行きましょう!」
「外見に依らすアグレッシブよね」
好奇心のままにいざ、統括会へ。
れっつごーです。