創世術師5
「私の師匠って生きてるんでしょうか」
「創世術師かい?」
「はい。名前を───────」
「その名の呪いはまだ続いていたのか……はっ、君の名は!?」
「……ティア・愛音・シャドール」
「なんということだ……。まず、君の師匠は生きていたとして、会えるか分からない」
「どういう事ですか、だって!私を、私にもう寂しくないだろうって!1人にしないって約束したんだから!」
「揚げ足を取る様だけど、君はひとりじゃないだろう。それに創世術師は必ず12人と決まっている。僕が居なくなって、もしかすると君がその座に着くのかもしれない。そして、言ったろ、地球の意志みたいなものに意識を奪われる」
「……突発的な行動が増えてたのは」
「その前兆だったのかもしれないね。何も知らないはずは無いんだ。だから君を置いて行くしかなくっても、助け舟は用意していたんだよ」
「総括会の依頼の放置、この白い杖、師匠の同期、その弟子達、ミラクルショコラも?」
「あ〜あ、時間が無い。僕はもうじき消えるだろう。君にコレを」
「写本」
「僕は創世術師として弱かった。だから知っていることが少ない。でも他の創世術師達はもっと知っているかもしれない。出会うんだ」
「創世術師に?」
「そう、数多くの人に。中には創世術師じゃ無くても強い魔法使いなら情報を知っている人がいるかもしれない。ただ、用心するんだ。強力な力は利用されやすい。騙された時、全て終わると思っているといい」
「……」
「仲間を頼りなさい。あと、怖くなったらそんなモノ壊してしまっても良いからね」
「この貴重な物を?」
「命には変えられないさ。じゃあ、もう行くよ」