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錬金術師ティアのつくる話  作者: 新規四季
229/988

10

錬金釜へ再度意識を向ける。

もう全て感覚で動いています。魔力を使う量、代替品のミルクショコラの魔力。


ミラクルが兄弟子から受け取った知識があるとは言えど、未知の技。

いつからでしょう、こんなにも臆病な私になったのは。

初めて釜に触れた時、あの時は焦りで無我夢中でした。

フラッといなくなる師匠。あの師匠にしては有り得ないぐらいの部屋の綺麗さ。

ずっと、良いバランスだった日常が音を立てて崩れ落ちたあの時は。


あの時は何も無かった。


今は違う。守りたい人達がいる。支えてくれる人達がいる。本心は分からない。


でも、今この場に居ることを答えと思いたい。


心に一滴の雫が落ちた。

凪いだ水面に波紋が広がる。それはやがて激流となる。


錬金釜から冷気が迸る。渦を描き真っ白な世界へ移し替える。


辺りに拡がった冷気は逆再生された様に、私の掌へ収縮されていく。


「これが、氷の鈴蘭……」


不純物の無いガラス細工の様に全ての光を集め、自身から発する様は宝石。


氷で出来ているだけあってとても冷たい。

触れている場所は直ぐに赤くなって持っていられなくなりそう。


「ティア!!無事なの!?何が起きたの!?」


クレアちゃんの悲痛な叫びにも似た問に私はただ、私の錬金術を見せました。


全てを終わらせる錬金術を。



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