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迫り来る植物は魔力を欲している。目の前にはバテて回避も取れないクレアちゃんです。
猛獣の目の前に餌を放り込んだような状況で、誰もが動きが止まってしまった時、その人は来ました。
「遅くなった、よくやったお前たち!」
いつも、いつも。私は誰かに助けられてばかりだ。
仕方ないのかもしれない。そう言える理由はある。けど、そんな事は思ってすら行けない。
私を信じた仲間たちに顔向けができないから。
でも、今この時だけは心の底から頼もしく思ったのでした。
自身の周りに水を纏わせながら、その水を華麗に操るその姿。初めてニーヴァさんが魔法を使っている所を見た。
周りの水を目に見えないほど細い糸状へ変化させました。その1本1本に光が反射して、まるで虹を纏わせているようで、
「綺麗」
「だろ?あいつの異名さ、虹姫なんだぜ?」
思わずそう口にしていた。そして、そのつぶやきに反応してストラウトさんが子供っぽい笑いを浮かべながらコソッと言った。
思わぬ助っ人その2に錬金術の腕が止まりかけましたが、集中を閉ざさない様に気を引き締め直します。
ニーヴァさんは、指揮を取るように舞を踊るように鮮やかに全身を使って水を操り時には冷気に、時には熱気に水の温度がコロコロ変わりながら一旦ではありますけれど全ての蔦がうち消えました。
ストラウトさんが地面に手を当てて、魔法を行使します。こっちも初めて魔法を使うところを見るかもしれません。
どんな魔法を使うのだろうとこんな状況なのにワクワクしている自分に驚きました。
私はどうやら、魔法に魅入られてしまっていたようだ。
ストラウトさんは創世術師の植物を土で模造し、相殺してしまう。
動きが全て一致している。
「俺の魔法だ、スゲーだろ?」
ニヒルに笑って得意げに。
今までで一番カッコイイ彼でした。
リーナーも凄いと感じていたし、ブレットも同じように凄いと思っていた。
でも、全然及ばない。2人が悪態をつきながらも師匠と呼び、慕う理由が分かった気がしました。
位持ちが統括会で如何にすごい称号か。
世界で見ても認められる理由の一端を見ました。