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出来ないってなんだろう。理由は深刻なのかもしれない。でも今は必要ない。
みんなを見れば体力の消耗と魔力の消耗が激しいのは一目瞭然だ。
氷の鈴蘭とやらが決定打になるのなら試さないでは無い。
ミルクショコラもぐったりしてきてる。
無尽蔵に見える魔力も見えるだけ、底はある。
「ミラクル、行ける?」
「いつでもどうぞ」
人型で不敵に笑い、釜へ姿を変える。
錬金術の素材すら魔力で補う。
とうとう私から直接魔力が抜かれるのを感じる。
連戦に次ぐ連戦。流石に視界もチカチカしてきてる。限界が近い。でも、ここで終わるわけに行かない。
目を閉じてしまえば深い眠りに着いてしまいそうなほどの疲労感を抱えながらも釜を必死に掻き混ぜる。
幾重の植物が迫ろうと、クレアちゃんが複数の魔法を組み合わせ最前線で捌いていく。
もう、風の手の維持はできていない。限界なのだ。
全力疾走をし続けているようなものだ。当たり前だ。
とうとう捌ききれず硬化した葉が、ソレが生き物のような物量で襲いかかる。
錬金術はまだ完成しない。目の前で起こる惨劇にそれでも動けない私。クレアちゃんはもうダメだ。そう思ってしまった。
私達にはまだ、これ以上なく頼もしい人達がいるのに。
「遅くなった、よくやったお前たち!」
水を纏い、タクトを振るうように優雅に。
美しい魔法で自身の弟子を守りながら彼女は遅れてきた。
「ニーヴァさん!!」