クレイア・ムーヴ
「あ」
謎の生物に気を取られてましたが、知らない人がいますね。
さっきもチラッと見た気もしなくはないけれど。
「なによ」
「貴女誰ですか?」
「今更!?い、いいわ。よく聞きなさい。私の名はクレイア・ムーヴ。クレアでいいわ。未来の大魔法使いよ」
クレアちゃんはない胸を張ってドヤ顔をしていますね。二ーヴァさんとの関係を知りたかったのですが、自尊心とか自己顕示欲の強そうな子という印象ですね。
「あら、そうですか。私は、ティア・愛音・シャドールです。えーと、未来の……」
まあ、将来の夢を語ってくれたので私も同じように答えようとしますが特に思いつかなかったです。
「無理に言わなくていいわよ。はあ、心配だわ」
「何がですか?」
「何がって、今後しばらくアンタとその他で任務をこなすのよ?不安しかないわ」
「些細な不安ですよ」
「なんですって」
「最も親しく、最も愛情をくれた人が居なくなったこの心に比べれば!……些細なことですよ」
ジッと目を見て話せばクレアちゃんも分かってくれたようで、嬉しいですね。
「わ、悪かったわよ」
「ええ、脊髄反射で喋らない事です。あまり私を怒らせないで」
「は、はいっ………!」
クレアちゃんは姿勢を正して返事した後に二ーヴァさんの後ろに隠れてしまいました。
「ティア、君がアイツの弟子である事が理解出来始めたよ」
二ーヴァさんはガクガクしてるクレアちゃんの頭を撫でながらそう言います。
「それは、なにより」
「し、師匠!おっかないって!あの子!平気で人を殺すわ!」
「まあ、そうね」
「そうねって」
「あの子を敵と見るか味方と見るか、仲間と見るか武器と見るか。アナタ次第よ」
「改めまして、よろしくね」
何やら物騒な事を言われていますが、危害を加える気もその為の力もありません。
物凄い過大評価を受けている気がしなくもありませんが、成るようにしか成らないと思考を放棄しましょう。
私が手を伸ばし、握手を求めればゆっくりと腕をのばし、握手に応じてくれました。
握った手は小さくて、とても温かかった。