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伝播不安
「ばか、こんな事でもうとっくに限界を迎えた貴女の魔法なんて使えないわ」
「で、でも……」
「ミホさん、貴女がいなければ私達は多分死んでいた。これ以上望めないわ。私達はミホさんが回復出来るように休ませます」
「はい」
「さて、人がごった返してるわね」
「宿までとりあえず行くか。すいません!魔力欠乏症が出た!宿で休ませたい!道を開けてくれないか!」
ブレットが声をはりあげておぶったティアを見せるように言うと心配そうな声が聞こえてくる。
不安そうな人々がサッと道を開けてくれる。
ブレットは漠然と思った。この場を収めるリーダーは何をしているのだと。
多分それは魔導図書館のあるこの国の人達も同様の事を考えているのだろう。