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豪華で質素
「……出来た」
絞るように言ってティアは力尽きてその場でぐったりと倒れ込んでしまう。
幸い私が支えていたから床に激突することは無かった。
もくもくとと錬金釜から煙が出て、次第に治まってゆく。
私はティアを燈火に任せて錬金釜の中を見る。
豪華で、それでいて質素。
黒が基調で、所々に金の粧飾。
なんとも言えない威圧感。
小手を手にすると、ミラクルが釜から人の姿に変わる。
「普通なら有り得ないことをやってのけた……もう彼女は只人の域を超えたよ」
「そう、なのね。それは今はいいわ。ミラクル、ティアがぶっ倒れちゃったから使い方わかるのはアナタだけよ」
「ああ、ティアの頑張りは無駄にしないさ」
「あなたの頑張りも忘れないわ」
「……ティアはいい仲間に巡り会った」