大失敗の成果
「あ、あれ?視界がぼやけますぅ……」
とてつもない疲労感と脱力感が錬金術を行った後にどっと来て意識が遠のいていきます。
「……ア、……ティア!」
誰かに揺さぶられ、意識が戻ります。
重たい瞼を開ければ私は二ーヴァさんに抱えられていました。
「あれ?どうして二ーヴァさんが?」
「どうしてじゃないわ!貴女勝手に錬金術したでしょう!」
「え、ええ。師匠のとは言え、依頼がありますから」
「そんなものキャンセルよ!ああ、もう。ベットでもう少し眠りなさい」
二ーヴァさんに抱えられ、寝室へ運ばれる途中、誰かの子供と目が合いました。
二ーヴァさんの親戚かなにかでしょうか。
それよりも眠い。
ティアが居なくなったアトリエで少女と二ーヴァさんがなにやら話をしています。
「先生、あの子が?」
「ええ、そうよ。錬金術師ね」
「信じられませんね」
「信じられなくてもあの子と、ストラウトのところでパーティは組むんだ」
「………はい」
「不満か?」
「………」
「ふむ、ぶっ倒れたくらいだ何かしらの錬金物が……あった。おい、ちょっとこっち来い」
「?なんですか?」
二ーヴァさんは部屋を見渡してあるものを見つけます。そして、少女に近くに来るように言います。
「なっ、何コレ。聖遺物?遺跡?」
少女は驚きました。
古代文明の辞典や、言い伝えレベルのナニカが床に置かれているためです。
それは一見してこの世のものとは違うと感じることが出来た。
「錬金物でしょうね。いえ、もしかしたら創成物かもしれないわ。少ししたらコレに変化が起きるかもしれないわね。こんな事才能がないと出来ないわよ」
「……私に天才の子守りでもしろってことですか」
少女は二ーヴァさんがティアのことをよく言う度に不機嫌になっていきます。
「はあ、頭が固いわね。仲良くなっておきなさいよ。将来的に背中を任せるくらいには。そうそういないわよ。こんな稀有な人材」
「はい」
二ーヴァさんは少女にティアという存在と一緒に高みへ目指して欲しいと考えますが、中々伝わらないものです。
ティアはきっとこの先、誰も成し遂げてない事をやるだろう。二ーヴァさんにはそんな確信めいた直感がありました。
そして、その時、その隣で一緒にいるのが少女であればと願って少女の頭を乱暴に、押さえつけるように撫で回します。
少女はなすがまま、下を向いた顔には笑みがありました。