一世一代
「行きますよ〜!!」
「おうっ!」
錬金釜となったミラクルの中身は私とミラクルの魔力がが液体となり、錬成液としての機能を成す。
「ミルクショコラ、お願いします!」
私一人では何も出来ない。自身の魔力は到底他の魔法使いどころか錬金術師にも及ばない。
私は知っている。目的を果たせるのであれば一人でやる必要など無いことを。
私は知っている。私を信じてくれる人が居ることを。
私は知っている。私を手伝ってくれる人を。
私は知っている。私は出来るのだと!
正確に、迅速に。煮詰めてる時間は無い。
液体の中を杖を通して理解し、ミルクショコラの魔力で全ての素材を感知し、目的の形へ溶かし固め、創り出す。
目なんて開いていられない。
呼吸なんて最低限でいい。全てが溶けた。
頭の中にある『魔力譲渡の小手』の設計図通りに全ての部品を作り、組み立てる。
一時も杖を話しちゃダメなのに、力が抜けて落ちそうになる。
咄嗟に拾おうとしても身体がついて行かない。
次の一瞬には全てが終わってしまった。そんなビジョンすら脳裏によぎる。
「大丈夫、大丈夫よティア。私が居るわ。支えるわ」
「うっ、ぐす……あり、ありがとう……!」
「泣かないの。さぁ、一緒なら大丈夫!」
「……はいっ!」