一難去ってまた一難、不安付き
火を放つ魔法は星の数ほどあれど、高位の魔法となるとその数は多くないようで、扱える人もほとんど居ないそうです。
「うわぁ!あ、熱い!」
白色の炎が閃光になり、創成術師に迫り被弾。
燃え盛り、全身が炎に包まれました。
「人の死に方で1番えげつないのって焼死なんですよ」
「なんでそんな事を今言った!」
「……今度こそやったみたいだな跡形も無い」
「……正気が残っていたら師匠について何か聞けたのでしょうか」
「……!ティアさん!まだ終わってないです!」
一同が一段落付いたと和む中、ソフィーだけは違う物を感じ取っていたようです。
一同に緊張が走りました。
「ビリビリとします……」
「あ、まずいっすねぇ。魔力が抜けてるッス」
「確かに。表世界にも影響出てるんじゃない?」
「ミホさん、行けますか?」
「……やるッスよ。それが今、ここにいる理由ッスから」
「魔力なら私たちに任してください」
そう言ったのは、ラーシェ、アーシェの姉妹。
現状、ゲートまで行けるのはミホさんの移動の魔法のみ。ミルクショコラで転移できるのは自身のみ。
そして、ミホさんは魔力が多くない。きっとやりきるでしょう。しかし、そのときミホさんは魔力が枯渇し、最悪死にます。
一同は個々人のレベルは高くても、戦術的には多分弱い部類。補助が独立してしまっている。
まさに今、そんな状態です。魔力譲渡ができるのであれば難なく解決出来たかもしれませんが、それができるのはこの中で1番未熟な姉妹。
皆、それが分かっていて否定も肯定もできず、沈黙が降ります。
「ティア、何のための錬金術なんじゃ?」
「……分かっています。ミラクル、釜になってください、即席錬金術をしますよ」
「任せておけ」