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釜
「まずは魔法が上がった場所まで行きましょう」
「ええ」
「妖精さんは出てきませんね」
「上手いこと行ったのかしら」
「そんなことは無かった見たいですよ」
「え?あっ」
ガサガサと茂みの中からヨロヨロとよろめきながら浮かぶのは羽根が真っ黒な妖精でした。
「様子が変じゃないですか?」
「創成物の影響かしら」
「そ、そんな事よりどうするんですか!?」
「アレくらいならワシがやろう」
「わっ、どっから出てきたんですか?」
「お主の影」
「えーと、たしか、うむ。これだ」
唸りながら釜は……釜はって変ですね。早急に名前を付けねば……。じゃなくて、ポンッと両手から試験管を生み出した。
「凄いですねぇ、えっと効果は?」
モノクロを掛けて試験管を見ます。
中身は紫色の気体。コルクで栓がして有りますが、その中身は強力な睡眠薬でした。
釜がポイッと妖精さんの足元に投げて試験管が割れると、煙が妖精さんを包みました。
煙が晴れた後にはスースーと眠っている妖精さんが居ました。
「流石です!」