仕切り直し
「はい、錬金術師ティアです」
「はい、目的は?」
「妖精の魔石のかくほーです」
「なんで伸ばしたのよ、確保って普通に言いなさいよ」
「まあ、ついでですけどね」
「1番必要な奴がそんな言い方しなくてもいいのに」
「みんな気を使っちゃうでしょ?」
「後は賢者からの依頼でコッチの方に来たって感じですかね」
「で、アンタらは?」
「そう蔑んだ目をしなくてもいいじゃないですかぁ、もっとお願いします!!」
「じー」
「あ、あはは、ごめん。こんな変態では無かったんだけど……恋かな?」
「待って!無言でドラゴンの口を向けないで!!」
「話後進まないじゃないか!俺達は魔法界全体のシステムの再構築が目的だ」
「政治的ね」
「まあ、そうだな。ここに居るのは今の魔法界から言わば追放されたような奴らだ」
「何をやらかしたんですか」
「……能がなかったんだ」
「……でも」
「そう、俺らは遅咲きなんだ。魔力はある、家系も問題ない。ただ、人より上手く扱えなかった。たったそれだけで失敗作の烙印を押され捨てられる」
「酷い」
「ティア、珍しい話じゃないのよ」
「クレアちゃん?」
「魔法使いは情に薄い傾向があるわ」
「でも皆はっ!」
「馬鹿ね、ここまで感情的になれるのはあなたのお陰なのに」
「?」
「バフォーム家のアナタはそういうのが顕著に現れた例なのかしら」
「そうだ。だから力がいるんだ!無能と蔑んだアイツらを見返す為の!」
「そう、頑張ってね。帰るわ」
「ちょ、待てよ」
「協力してよ!」
「……私達はね、それぞれ目的があって集まってるに過ぎないの」
「ティアさん……」
「私は師匠を探す。その手伝いがリーナー達。それでリーナー達は評価を上げてランクを上げて上を目指しているわ。これ以上彼らに寄り道はさせられないの」
「……え、そんな事考えてたの?」
「え?ちょっと、黙っててくれませんか?ちょっと感動的な感じじゃなかったですか?今」
「ええと、ちょっと意見の食い違いがありますね」
「あ、あれ?リーナーまで……」
「そうね、そんなに薄情に見えたのかしら」
「クレアちゃん?」
「私はノーコメント。だけど着いてくよ」
「ミホさん……チラ」
「き、期待した目で見ないでください〜!でも、私は無理やり連れてこられた気がしますけど……それでも今はティアさんの為に居たい、です」
「……えー、仕切り直す?」
「……一旦帰りませんか」
「まあ、はい」