覚醒
「あ、消えていきますね」
「ふん、造作もねぇ」
「よく言うわよ、必死だったじゃない」
「うっせ、無事なんだからいいだろ」
「弱ってますね」
「治癒系の魔法を使える人はいないの?」
「てんで駄目だ。壊すしか脳がないからな」
「アンタらしい。私は適性がなくって」
「私もです。サポート特化ですからね」
「あ、あの!」
「もしかして使えるの?」
「は、はい!い、いえ!」
「どっちなのよ」
「ソフィ、落ち着いて。ほら、大きくきいを吸って、吐いてー」
「えっと、血を固めるとかの弱っちい自己蘇生の手助けは出来ます。でも、それでは多分意味無いですよね。だから」
「ああ、私のサポートですね」
「そ、そうです!でも魔力が……」
「仕方ないですね、こうなったら隠していられませんから」
「ティア?」
「私は魔力がありません」
「…………唐突なカミングアウト」
「そう、ミルクショコラが代用してたのね」
「流石トウカさん、察しがいいですね。そうです、だからミルクショコラの魔力をソフィに流せば解決しませんか?」
「なら、どっちみち戻った方が良くないっすか?」
「そうだけど、かなり距離が」
「情けないところばっかじゃないっスよ!」
「ミホさん、アナタ何を」
「私は移動を司る魔女ッスよ!?宿くらい飛んでみせる!」
「なら、ミホさん!移動の魔法で扉をイメージしてください!今まで通ってきた道を一瞬で戻れる道を」
「……ソフィは何が見えてるのかしら」
「さぁな、なんかしらの潜在能力が覚醒したんじゃねーの?」
「……なるほどね」