宿
「ねぇ、ずっと黙ったまんまだけど大丈夫ですか?」
「いえ、気圧されてあまり……」
「うーん、分からないわ」
「分かりますよ、その気持ち。錬金術師さん」
「分かってくださいますか!?縁なんてないと思ってた魔道図書館に来れるどころか、その司書様にひと目会えるだけでも凄いことなのに、皆さん平然と」
「そうだ、君は正しい。もっとネク様を敬うべきなのだ」
「ねぇ、貴方」
「貴方ではないです。シャルディです」
「では、シャルディ?錬金術に興味は無い?」
「錬金術?」
「別に、興味無いですね。僕は魔術師ですし」
「また、聞きなれない言葉です」
「あ、はい。えーと、魔術師って言うのは、魔力は有るけれど魔法が使えず、その代わりに魔術具を用いて魔法や、現象とかを扱う人達ですね」
「すっかり解説役ね、ソフィー」
「い、いえ。これくらいしか出来ませんから」
「……まあ、気が向いたら言ってくださいな」
「ふん。さぁ、ここが貴方達の宿です。話は通ってますからご自由に」
「ええ、ありがとう。またねシャルディ」
「……また、ですか」
「では、早速ですが準備を整えたら出発しますから30分後に外に来るようにしてください」
「クレアちゃん!部屋行きましょう!ねっ!」
「あー、はいはい。まったく、元気ねぇ」
「クレアさん、嬉しそうですね」
「ええ、そうね。少し悪い事をしたと思ってますから……笑顔が見れて良かったです」