相反
チョコレートがとぐろを解く。
たったそれだけでも周囲へ綺麗な黄色の魔力が拡散される。
地を這う津波のようにそれは私達の仲間に届く。
「……これは凄いですね、魔力が戻るなんて」
リーナーが立ちあがり、体の感覚を確かめながらそう言った。
魔力も体力も使い果たしていたのに、すっかり元通りな感覚。
「……化け物の子は化け物だったか」
月の化け物は自身の目的も計画も全てがぐちゃぐちゃになった現状に腹を立てるのと同時に、少しばかりの恐怖も覚えていた。
(黄金郷を丸ごと錬金術に使うなんて有り得ない……。武器を全て奪われたようなものだぞ!)
「貴女方には驚かされっぱなしだ錬金術士!」
月の化け物が地に降り立つ。
する眼光を私に向けてそう叫ぶ。
怯みそうになるも、ペルシャが手を繋いでくれる。
それだけで何でも出来そうだった。
「貴方達は何がしたいのですか!いっつも私たちを苦しめる!」
「それはお互い様だ。相反するのだよ」
「……黒霧だってお前たちのせいだろう!?」
「肯定しておこうか。勝負の勝ちは譲ろうしかし、お前たちを生きて返そうとも思わんがな!」
月の化け物は巻物を投げる。
それは今まで見たものの中でも1番禍々しい邪悪なオーラを纏っている。




