④《リビング・デッド 下巻》
実はフリーの小説家。
ツイッターやってます。
「@Ichigo_Milk___」
キャラクター紹介
ナカノ・メア
焼野原高校一年の男子生徒で中家鬱が驚かせるための実験体の一人、昔からの幼馴染。
霊銃を使い生還する。
王牙白狼
白髪で筋肉質の黒斬高校一年生徒の男。
前髪がオールバックにしており制服はきちんと着ている。剣道部であり木刀は普段から所持している。
サリィ
桃色髪ロングツインテールを好んでいる。
頭にはバイザーを装着。
衣装は迷彩服の軍服コスチューム。
中は白タンクトップで少し胸が出ている。
WWHO
全世界で一億人DLの大人気オンラインゲーム
その中の一人の女の子がゲームから現実世界へ。
ある男の子がそのゲームの夢を見て、F型アバターの女の子が空想内で具現化された。
その女の子は訳が分からないままオンラインゲームの中でしばらく生活することになった。
ゲームを始める前にいないはずの妹に勧められた。
地獄魔法少女(雅)/星蝕ステラ
黒髪ロングを束ねてツインテール(ドーナツ型)
黒色と彼岸花柄の着物に下の丈は短いスカート
右手にはピンク色のおもちゃの水鉄砲(霊水銃)
腰巻には綱を巻いてリボン結びの女の子。
峠帝国
四天王リーダー 龍
中国拳法を極める師の頂点。
四天王
アリサ
金髪カールがポイントで可憐、長銃を使用。
スネイク
瘦せぎすの男で毒針銃を使用。
デイビッド
革ジャンを愛用している。二丁拳銃を使用。
プロローグ ー 砂/沙 ー
ゲーム内部時間では七時間が過ぎたであろう。
現在の砂漠廃坑ステージではそろそろ夜になろうとしている。
今の生存者は四十五人と中々減らないもので対戦中にも関わらずNPCが経営してるのだろうか小さな誰にも見つかりそうに無い場所でバーが開店してある、そこに恐る恐るゆっくりと扉を開けるナカノは店主以外は誰もいないと確信したので普通にサリィと入店した。
「おや、このような場所にお客人とは……。まぁここはレーダーには映らないからゆっくりしていきたまえ。どれメニューはどうなさいますかな」
優しそうなバーテンダーはコップを磨きながら話しかけて来た。
「水で構わない。それとここは何なんだ?誰にもバレない場所でただバーを経営しているとは見当着かないぞ」
その問いに対してバーテンダーはゆっくりと笑う。
どこか可笑しかったのだろうか。
「確かにここは一見、ただのバーにしか見えないが……情報取引現場とも言えよう。今君達が欲している情報を特別に幾つか提供してあげよう」
バーテンダーはパチッと指を鳴らすとウィンクまでして豊かな振る舞いを見せる。
「この先に塔か城、見たいな建物は建っていないか?きっとそこに俺達が探している答えがあるはずだ」
ナカノがそう問うとバーテンダーは腕を組んで五秒ほど悩んだ。
「螺旋城と言う場所がここから西に建っている。が……普段は見えないからプレイヤーはそこに気付く事は出来ないが……君達ならきっと辿り着けるだろう」
そう聞いたサリィは手を合わせて喜ぶようにナカノに目を合わせる。
「じゃあそこに鍵があるかもしれない!行くわよナカノ!」
世話になった。と一言添えて店を出たナカノとサリィ。
「ま、頑張りたまえよ」
バーテンダーはそう言ってまたグラスを磨き始めた。次の来客人のために。
第一章 ー 虫/蟲 ー
このオンラインゲームの中にダイブして分かった事は制限時間が存在しないと言う事。
完全に一人になるまで戦うのかチームを組んでいればあるいわ……。
とも考えてみたがあくまでチームと言うのは同盟を結ばずただ一組に集まっているだけのようにも思える。
残り人数20人。
ここまで生き残ったプレイヤーは相当レベルの高いのだろう。
「バイクがある。ここから先はこれで螺旋城を目指すぞ」
ナカノとサリィはバイクに乗り、サリィが背後からナカノを抱き締める形になるのだが……。ナカノは何の反応もせずにサリィは少し残念なのような恥ずかしいような表情を見せる。
「あ……っ!その、我慢してね?少しだけだから、うん」
こいつは何を言っているのか。
とナカノは数秒後に気付く、サリィの胸が当たっている事についてだろうが……ここは気を紛らわす事を言っておこう。
「気にするな。しっかり掴まってろよ」
背後から「むすっ」と聞こえた気がしたがまぁ放っておいて構わないだろう。
◇
しばらく高速道路を走っているとみるみるうちに残り人数が減って来ている。
残り10人。
しかし予想はもしかすると外れているかも知れない。
一つはプレイヤーがナカノが思っているより弱いと言う事。
もう一つはとてつもなく強い凄腕プレイヤーが蹂躙しているか……。
「あっ!あれは?あの砂煙に覆われてる塔のような……城のような……あれが螺旋城……」
サリィは指を指して俺も少しだけ刺された方向の右側を見やる。
「ヤケに……誘われているな」
刹那背後から吐き気を催すくらい強烈な寒気がナカノを襲いすぐに後ろを振り返ると氷の霧を纏った巨大な蛇が凄まじい速さで追いかけて来る。
「こちらに気付く前に息の根を楽に止めてやろうと思っていたのだけど……残念ね?」
この彼岸花柄の着物を着た女性は氷の蛇の上から睨むように俺を見下ろしていた。
そして右手にはピンク色のおもちゃの水鉄砲を持っている。恐らくあれは武器だろう。
「邪魔をするなら遠慮はしないが?サリィ、運転は出来るか?」
サリィは「少しくらいなら出来るけど……宇宙船の操縦くらいしかわかんないんだよね」と、少し不安になるような言い方だが、とりあえず席を代わり俺が後ろの席の上で立ち霊銃を構えた。
「ふむ?話し合いは決裂……と言う訳ね。炎帝ワイバーン!」
黒い着物の女性が空に浮いている竜を呼んだ瞬間ナカノはヒュドラの目を片っ端から霊銃で撃ち抜きバイクから突き離す事に成功した。
「ここで俺達を仕留める理由はなんだ?メリットはアンタにあるのか?」
言葉を交えて何度か炎帝ワイバーンの翼に薬莢を命中させるが全く効いている気がしない。
これもあの女の術が原因なのかも知れない。
「世界はリメイクされる場所に在り。御前達みたいな地球に取り憑いた虫を駆除しなければならない。ならない理由があるのよ」
何をそんなに焦っているのだろうかあいつは。
確かあれは小説の中の出来事で一人の女の子を守るために何度も世界を滅亡に追い込んだ魔女がいた。と言うのを読んだことがある。
何だかそれと既視感を覚える。
「アンタは要はパラレルステラで良くわからないまま一つの希望を持ったままこの世に植え付けられた人造人間に過ぎない。そんな御伽噺にいつまで騙されているんだ、目を覚ませ!」
俺は炎帝ワイバーンを狙わずに一瞬だけ躊躇した着物の女の心臓を撃ち抜いた。
式神だったのだろう炎帝ワイバーンは紙屑になり着物の女は高速道路に一人倒れていた。
「本当に守りたいものがあるのなら今の台詞で躊躇なんかはしないぜ……アンタはもう休んで良いんだ」
バイクの後ろで立っているナカノが何か言っていたようだが風の音で良く聞こえなかったサリィは「まぁ、良いか」とまた前を向いた。
◇
「こんな簡単にやられるって……本当屈辱だわ……本当……」
星蝕ステラはどこか悔しそうで、何故か満足そうな表情で光の量子となって消えた。
第二章 ー 始/死 ー
数分ほどバイクで高速道路を走っていると螺旋城の50階くらいの高さに到着していた事に気付いたナカノは入れそうな隙間の硝子を霊銃で撃ち抜き硝子はパリィン!と音を立てて割れた。
「それってこの世界じゃ反則なんじゃないの?」
サリィは顎に指を当てナカノにそう聞くと。
「側から見たらこれは立派な反則行為だろう。破壊可能オブジェクトなら話は別だが。しかし普通に冷静になってみろ。俺達は異人だ。多分ゲームのサーバーも俺達を判定しきれてない。だから今もこの場所に留まれているしな。さて話はここまでだ、行くぞ、少し高さがあって隙間があるが……跳べるか?」
高速道路は高く下を見れば砂漠に飲まれかねない。少し勇気を振り絞りサリィも飛んで上手く着地し螺旋城へと侵入した。
すると城内は広いホールになっていて明かりが点いてないので薄暗い。
「ようこそ儂達の城へ。峠帝国と知ってこの場所に足を踏み入れたのだろう?ならばここから先は通す訳には行かないな。ここには皆の願いが詰まっている場所。貴様等はここで朽ちると良い」
老人の声がホールに響き渡る。
その後ホール内に明かりが着き出し、ナカノとサリィの目の前には三人のプレイヤーが立ち塞がっていた。
「ワタシはアリサ。貴方達を始末するために来たのよ?ありがたく思いなさい?」
金髪カールの小さな女の子は長銃をこちらに向けて的確に頭部と腹部を狙って来たのでナカノは素早い身のこなしで何とか回避したが……。
「俺はスネイク。しかし周りが本当に見えてんのかァ?そこのピンク髪の女はどうするんだよ?」
猫背で少し痩せている男は毒針を何発かサリィを狙い撃つ。
サリィはライフルブレードと呼ばれるライフルとブレードが一体化、もしくは分離して使用する事が可能な武器を装備しており、ブレードモードで毒針を斬り払う。
「ナカノ!もう一人いる!後ろ!」
サリィに言われる一秒前には背後から気配がしたので回避行動に専念していたがやはり背後にはガタイの良いアメリカンガンマンを漂わせる二丁拳銃を持った男がいた。
「オレはデイビッド。それにしてもお前らナニ遊んでんだよ。こんなヤツらは乱れ撃ちで充分だろ」
デイビッドは二丁の銃を交互に構え何発も乱射し流石にサリィが回避出来無いと思いナカノはサリィを庇い一発の薬莢がナカノの足を撃ち抜き思わず膝をついてしまう。
「今ので身動きは出来無いだろ?ここまで来たのは賞賛に値するが……じゃあな」
デイビッドは二丁拳銃の引き金に触る。
ナカノはこのピンチの時、最初に出会ったポニーテールの女の子の事を思い出した。
また助けてくれないだろうか、力になってくれないだろうかと。
その願いは叶ったのかナカノの身体全体が光り輝き纏い宙へと浮いた。
「やっと呼んでくれたね、助けに来たよ」
優しい声の女の子の姿は見えなかったがナカノの外見が見る見るうちに変化して遂げた。
これは霊鎧者だろうか。
そのナカノの姿は短かった白い髪は長いポニーテールになり、下半身は銅色の鎧に包まれていて足には何本もの棘の様なミサイルが装備してある。
「敵とみなされる者達を全員貫け!エクスブラスター!」
サリィ以外のアリサ、スネイク、デイビッドは刹那の速さでまるで串刺し状態になり蜂の巣の様な穴が幾つも空いており、一発で全員仕留めた……ハズだったが。
「四天王だと言ったであろう?貴様の力は良く見せて貰った……ここからは儂が御前達を倒す」
この一言一言に重みのある言葉はやはり四天王最後の一人、リーダーが存在しているのか。
「姿を見せろ。いるんだろ?」
ナカノはレーダーに反応が無いかチェックするがどこにも見えず声だけ聞こえる状態だ。
「良いだろう。しかし御前達に儂の姿が見えたらの話だがな」
第三章 ー 無/夢 ー
ナカノは一寸先の未来を予知し腕をクロスする様にガード行動に出た、案の定ナカノを襲う多段ヒットなる攻撃が次々と攻めて来る。
「ほぅ?御前達も銃を使わないのか……。これは面白い。銃の世界で拳と拳がぶつかり合うとはな……」
笑って居られるのも今の内だ。
背後に構えていたサリィの銃口には凄まじい程の粒子量が蓄積されていて、これが発射されるとナカノもタダじゃ済まないだろう。
「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!スペース・スプラッシュ・シュート!!!」
両手に構える銃は凄い反動で上を向き撃ち終わった時には師なるものもナカノも倒れていた。
「そう言えばまだ儂から名乗っていなかったな……儂は龍、全国第三位まで上り詰めた者よ……しかと受け止めるが良い……」
そう言い残して光の量子となって消えた龍。
「残りは二人か……いや、違うな。これは俺の負けだ。素直に認めるよ。確かここの最上階に何でも願いが叶う短冊と言うのが一枚あるらしい。そこにサリィが求めてる場所があるだろう。優勝者はサリィだ、おめでとう」
次にナカノが見たサリィの衣装は変化していて髪には大きな星の髪飾りブースター、星の王冠、まるで宇宙飛行士の白色と青色の女性用スーツ姿になっており、とうとう夢が叶うんだなと思ってナカノはようやく溜息を着けた。
「ありがとうナカノ……私行くね!ナカノも……元気でね」
泣いてお別れなんて言うのは辛い、だからサリィはどうにも言えないくしゃくしゃの笑顔で最後に一言「願い、叶えに行くね」とナカノに小声で添えて最上階に登り、そこにあったのはロケットでは無く。
丸い球体の様な機械に左手はキャッチアーム、右手にはドリル、足も付いている。まるで惑星探査機の様だ。
「真ん中の丸いガラスの様なところがコックピットかな。見やすいじゃん!ただこれ真正面から見られたら私の全身丸分かりだね、あはは……」
とは言えこの短冊をコックピットの左上に付けて私は飛ぶ、この宇宙を……またナカノに会えると信じて、今度はリアルで!!。
サリィの惑星探索機は宇宙を舞い、銀河の果てまで飛んで行ったのであった。
エピローグ ー 無/限 ー
そして一週間が経過し、金曜日の深夜三時に薄暗い家へと生還したナカノの姿は勿論ゲーム内アバターの衣装ではなくきちんと制服姿に戻っていた。
「お疲れさんナカノ、ところでどうなんだ?うちの生徒は……」
あいつは……。と続きを言おうとしたが隣で心配していた中家を見て流石に言葉を選ぶ事にしたナカノ。
「あいつは、願いを叶えるためにあの場所に居たんだずっと……ここには居ないけど助け出せたと言えば納得してくれ、すまないな」
次元斬りは腕を組み唸る。
確かに肯定し難いかも知れないが……。
中家もかなり心配していたのか俺に何か言いたそうな気がして……何だろうか。
「実は……この一週間レイムちゃんと桐崎先生の様子が……」
俺はこの先、再び地獄を見る事になるのであった。
あとがき
こんばんは、いちごみるくです。
今作でフルダイブ型オンラインゲームのお話は以上となります。
そして今後の伏線ともなりました。
次回からはもう少し対象年齢底上げされる程のお話を執筆予定なのでどうぞお楽しみに!。
それではごきげんよう!。