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獅子奮迅  作者: げんぶ
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62話 ネガイノアリカ


 新たな魔法使いが産声を上げる。

 世界を知らず、人を知らず、魔法を知らない。

 何が正義で、何か悪なのか。

 力を知る者、知らない者。

 力を振るう者、振るわれる者。

 身体を使い、言葉を使い、モノを使う。

 そして魂を知る。


 全て当たり前なことであり、簡単で困難な問題。

 人は在り方を変えることで、苦しんできた問題を解決する糸口を見つけられる。

 そんな可能性を最初の魔法使いは願った。

 この思想は受け継がれることは無かった。


 結局、何も変わらなかったから。


 ある少年も最初の魔法使いのように願い戦った。そして敗れた。

 当然の話だった。これも単純明快な話だった。

 ただ少し、人が受け入れられなかった。

 その思いが強かった。たったそれだけの話。

 

 少年の願いは確かに敗れた。

 だが意思は受け継がれた。

 途絶えさせてはならないと、意思ある限り人の見る夢は終わらない。

 残された者は少年の魂の鼓動を継いだ。


 だが意思を継いだところで一人一人が思う願いや意思は必ず一致しない。

 そういう生き物として人間は完成されてしまったからだろう。


 では魔法使いとはどうなのだろう。

 人にはない、与えられなかったものを獲得した彼らは。

 新人類なのか、それとも全く別の存在なのか。

 人としての到達点あるいは人が願う結晶か。

 答えはまだ出ない。


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