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獅子奮迅  作者: げんぶ
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48話


 会津茜の言葉に嘘は感じられなかった。そして気づいていないふりをしていた自分の目が真実を映し始めていた。黒い魂だけの塊が集まって形を造って、人である振りをしながら町に溶け込んでいく。人の形を得た黒い魂の溶け込み具合は気味が悪いくらいに自然であり、魔法を見る者に対する誤魔化しの精度も高かった。良く見なければ偽物とは分からなかった。


 「本当に凄いでしょう。あの魂にも種類があるのかもね。

  関わればよくわかる。人の記憶に少しだけど干渉して関わってくるもの。

  監視用なのか見てくるだけのもの。町を修繕するもの。」


 言われて気づいた。町の老朽化が進んでいるのか町の修繕をほとんど人の形を得た黒い魂が行っている。


 「私たちが次のパーティーでやるのは一般人の殺しじゃない。

  この町に潜んでいる”魔法使いの成り損ない”を見つけ出して一人残らず殺すこと。

  一般人は対象じゃないの。」


 一般人でなく、魔法使いの成り損ないを殺す。彼女の発言は俺が知らないだけで深い意味があるのだと思った。だが成り損ないであろうと人であることに変わりはないはずだ。だから俺は会津茜の考えを否定する。


 「そんなことをして何になるんだ!

  自分の手を汚してまですることなのかよ!?それが!?」

 「この町に潜む魔法使いの成り損ないは”ノット”と呼ばれてる。

  魔法を習得できずに持て余した力を彼らは生きるために使う。」

 「だからどうだってんだ!?」

 「彼らが生きるために獲るのは魂。つまり、彼らは人を喰うんだよ。

  ノットも体の構造は魔法使いと同じ。だから”食人衝動”がある。」


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