40話
藍央学園でのあの夜から3日後、俺は美夜古と同居することになったあの雑木林に囲まれた一軒家の中で目が覚めた。何が起きて、俺を含めた全員がどうなったのか脳内はそれでぐちゃぐちゃだった。美夜古はあんなことがあったのに藍央学園へと登校しているようで、目が覚めると誰もおらず置手紙のみが残されていた。
私は藍央学園の生徒なので登校します。身支度が澄んだのなら自由に町を散策でもしてください。またあの夜のようなことが起きらないとも限りません。十分に注意を払って、目を使うことを忘れないでください。以上が残された置手紙の内容だった。
広間に低いがかなり大きいテーブルがあった。その上には朝食が置いてあり、俺は座って食べとしたが広間にはもう一つ、見逃せないものがあった。見覚えのある人影、深山錦だった。なぜあの老人が普通にこの家の中にいるのが疑問だった。深山錦はこちらを向いてテーブルの横に座れと手で指示してくる。
「あの後すぐに学園にいったそうではないか。驚いたぞ。」
「その気はなかった。」
「何が起こったのかは大体あの娘、美夜古から聞いたよ。」
「なんであんたがここにいるんだ。」
深山錦はきょとんとした表情で、俺を不思議そうに見てきた。
「はははは!ようなどないさ。ただ散歩だ。
衣笠大が暇を持て余すかもしれないと美夜古に聞いたのよ。
町に出ても迷子が、襲われていたぶられるのが落ちともいっとったぞ。」
「あいつ…」
どうやら美夜古にとって右も左も分からない子どもに見えているようだ。
「まぁ、話はある。
お前さんはあの学校で何を見た?」
深山錦は真剣な眼差しになって俺に聞いてきた。声の低さから重要な事柄であることが伺えた。




