26話
「文字通りだよ。
敵、というのかな。
学園にいる彼らは君の作り出す青い光に希望の光を視ようとする。」
深山錦は龍の本を撫で、壁に掛けてあった一枚の写真を眺めた。写真には数名の同じ服を着た学生が映っていた。
「だからこそ、まやかしを視る魔性の光を視ようとする愚か者達にはつけ入る隙がある。
君の生み出す光、蒼炎は可能性を秘めている。
我々にとっては得体の知れぬ再生の光か、滅びの光。
君は彼らに示さなければならない。」
「あの写真はあんたの?」
「ああ、遠縁の身内が映っているらしい。たった一人の身内が送り付けてきた写真だ。
今は藍央学園に通学していると聞く。」
「身内を巻き込む可能性は考えないのか?」
「良い。気にせずやればいい。
君は彼らの前で希望を絶望に変え、私と美夜古君はある人物に接触する。」
「その人物ってのは?」
「”嵐山綾”という。私と同じ魔法使い。
5年以上前からこの町に潜伏している情報屋だ。
現在は藍央学園の教師と働き、3か月後の会合を気に学園を去るらしい。」
「ということは俺の事も?」
「もちろん知っているだろうよ。
彼女に接触し情報を得て、学園の闇を屠る。
それが今回の仕事だ。」
「了解です。」
美夜古は深山錦の言葉に返事する。だが俺は素直にわかったと言えなかった。学園が何を企んでいるのか、情報屋が情報を渡す確証性、根拠のない作戦の成功率、不確定要素が多すぎる。
「衣笠大、何か言いたそうだな。」
深山錦は俺の反応に早々に気づいた。
「あんたの作戦には不安要素が多すぎる。
しかも俺を出品だと?その会合で何が行われるんだ。」
「ああ、極めてシンプル。
魔法使いのオークションだよ。」




