12.9話 定まる思惑
ここまでがプロローグかな~って感じです笑
最悪の選択を迫られる。だが、この選択を選ばなければ俺は先に進めなかった。
俺は、獅子と対峙することを決断した。
「獅子と対峙するのであれば私は手を貸せます。」
美夜古は言葉の意味を察するに藍央学園が送り込んでくるであろう刺客、それと対峙することに彼女は介入してくれないと分かった。ならば手を貸してくれる方を選び生存の可能性が高い方に賭けるしかない。
「分かった。獅子と戦って魔法使いになってやる。」
美夜古は俺の答えを予想していたように懐に忍ばせていた一枚の紙を俺に渡してきた。
紙を受取り、開くとそれはこの町、鎌足市の地図だった。
そこには気になるようなものが記されていた。鎌足市の北にある森に丸印が記されていた。
「その地図に記してある場所に、獅子はいます。」
彼女は始めからあの黒い獅子いることを知っていて、その場も掴んでいたということが分かった。
「おい、なんで知ってたんならもっと早く言わなかったんだ。」
彼女は深くため息をついた。
「教えたところで無意味だからに決まっています。
それに、向こうから出てくるのはこちらとしても予想外だった。
あの獣は危険性が高い。封じていたはずだったんですがね。」
「普通に俺たちのいた場所にいたが?」
「封印を破ったのでしょう。」
他人事のような返しに呆れ、俺は美夜古が何を考えているのか本当にわからないと思った。
森の洋館、衣笠大が目覚め、始まった場所には二人の影があった。
「老師、獅子を確認したという報告が入りました。
どういう事か説明していただきたい。」
松前斬院は老師と呼ぶ目の前で揺らぐ人の形をした炎に話しかける。
「封印に綻びが生じ始めたことでどうやらあの獣、影を流したようだ。」
老師は眉をひそめていた。それを見て予想外だったのだと察する。
「あれから5年だ。野生の神秘、それもあの獣となると流石の儂でも手を焼く。」
「藍央学園が動きますよ?」
「そうであろうな。困ったものだ。
向こうには手練れの魔法使いが多い。
始末に向かう先は”衣笠大”か、”黒き獅子”か。
そっちの”準備”はどうなっとる。」
「始めること自体はいつでもできる。
ですが失敗する可能性が高い上に、この状況では不安要素が多すぎます。」
「この際の不安要素なんぞはなるようにしかならんよ。
だが成功の可能性は儂としても引き上げたい。」
「では引き上げる為の策、乗っていただけますか?」
松前斬院の言う策に老師は乗ることに決めた。
5年間の昏睡から覚醒し、中心に添えられる衣笠大。
松前斬院の弟子として、衣笠大の付き人となった松前美夜古。
衣笠大の目覚めに呼応するように姿を現した黒い獅子。
魔法使い殲滅を目的とする藍央学園。そこに属する魔法使いと黒染松月は標的を定めた。
同時に暗躍する、松前斬院と老師。
魔法使いたちの物語は次の段階へと進む。
12.8話はないのかって?
ナイデス。ナイヨ!ナイッテバ!
ゼッタイニ!!!