精進焼尽
この作品はとある文豪の作品をリスペクトしており、また独自解釈を含みます。
分かる人には分かる作品を題材としております。
ぷらんぷらん。
血塗れの衾。
頭文字しか知らない友人が言っていた。
ばかだと。
精神的に向上心のないものはばかだと。
耳の奥に引っ掛かった垢のようだ。
俺はばかだと言われたことにムカついたが。
お前は絶望したのか。
教えてくれよ。
なあ、K。
机の上の手紙。
俺を恨んでるんだろう。
ならそう書けよ。
俺がお前の望みを奪ったって書けばいいだろうが。
なんでだ。
なんでそんな絵を描いた。
お前は画家じゃないだろう。
お前は自分のやりたいことに精進するんじゃなかったのかよ。
お前は恋をしたんだろう。
お前は悩んだんだろう。
だったら俺を恨めよ。俺を殺せよ。
なんで自分で自分を責めた。
お前は、どうしてそんなにお前に厳しいんだ。
教えてくれよ。
なあ、K。
お前の絵の具は全部燃やしたぞ。
お前の絵は燃やしたぞ。
お前の本当の意思は俺の他には誰にも伝わらない。
なあ、なんで俺を縛るんだ。
お前は燃えたんだろう。
お前は、目の前で焼かれただろう。
なんで俺を縛るんだ。
お前の真実を知っているという事実が、俺を呪いのように縛るんだ。
俺はお前のせいで前を向けないんだ。
なあ、K。
よくやったな。
よくもやったな。
お前の目論見通り、俺は幸せになれないぞ。
ああ、お前のせいだ。
やって来る。
見えてくる。
あの炎が。
俺を迎えに。
なあ、K。
教えてくれよ。
お前は絶望したのか。
俺はばかだと言われたことにムカついたが。
耳の奥に引っ掛かった垢のようだ。
精神的に向上心のないものはばかだと。
ばかだと。
頭文字しか知らない友人が言っていた。
血塗れの衾。
ぷらんぷらん。
果たして、揺れているのは誰なのだろうか。