31:馬小屋作りと魔王の正体
■ステータス■P1
<ダンジョン>
ダンジョン:<名称未設定>(レベル20)
ヌシ:モエギ(レベル50)
体力—1500/1500
気力—1500/1500
特性—創世神の加護(ダンジョン内・自由カスタマイズ)
装備—
性質—ダメージ無効(ただしダンジョン内に限る)
技能—鑑定(相手の情報を見ることができる)
面積:10平方キロメートル(拡張制限解除)
地形:洞窟・岩山・砂地・川・草原
<モンスター>
魔王
淫魔種
カルロ(レベル250)
狼種
ウルフ:ブルーノ(レベル80)
馬種(天馬・火馬)
火天馬:ヴァレリ(レベル245)・他
■ステータス■P2
<スキル>(レベルによりできることが増えていく仕様)
畑作:レベル20(畑で作物を育てる。季節は関係なく収穫の早さはレベルによる)
勧誘:レベル20(中級モンスター1体を味方にできる。体力を5・気力を5消費する)
整備:レベル完(ダンジョンを整備する。体力を消費しない)
城建設:レベル10(魔王の城「小」を建設・移動する)
巣建築:レベル1(モンスターの巣を建築する)
罠設置:レベル1(罠を作って設置する)
結界:レベル2(ダンジョンに結界を張る。体力を100消費する)
地形変更:レベル1(地形特性を変更する)
表示が少し変わっている。馬種は代表名だけが表示されていた。
あと、カルロの種族名……そして彼が言いたくなかった理由もわかってしまった。
カルロ自身はどうなのか知らないが、元の世界の淫魔はアレなモンスターらしい。
(……きっと、恥ずかしかったんだな)
チリやブルーノはいるが、基本的に女子と二人暮らし。
そんな中でカルロは、正体を明かし辛かったに違いない。
(彼の種族については、そっとしておいてあげよう)
私は、カルロのステータスについて何も見なかったことにした。
草原の移動は、ヴァレリの上にのせてもらったので楽だ。彼は空も飛べるし、地上を走っても速い。
「ヴァレリたちに家はあるの?」
「……? 草原で普通に寝起きしているが?」
「それって、野宿!?」
「馬種はそういうものだ。普段は人型にならないしな」
「雨が降ったらどうするの?」
「岩山や屋根になりそうなものがある場所に移動するか、森に入る。もうゴブリンもいないし」
それは、ちょっと大変そうだった。
草原を整備しつつ、新しくできた「巣建築」というものをしてみる。
<巣建設メニュー(初期)>
・淫魔の巣
・狼種の巣
・馬種の巣
カルロは魔王城があるので巣は不要、ブルーノも今はモエギの部屋にいるので不要だろう。
馬種の巣を選択してみる。
建築—巣の建築(1つにつき体力・気力を20ずつ消費する)
増築—巣の増築(+10平方メートルにつき気力10を消費する)
水路:レベル1(マップメニューを使って水路を設置する。1つにつき気力10を消費する)
照明:レベル1(照明1つにつき、松明は気力5、電球は気力10、LEDは気力20を消費する)
基本要素は魔王城建設と同じのようだ
建築を選ぶと、屋根付きの馬小屋っぽい建物が建った。中に仕切りなどはなく、自由に出入りできそうな形だ。
次に水路の設置を選ぶとスマホに地図メニューと青い四角が現れる。四角は両指で広げることにより長さが変わり、指をスライドさせることで地図上を移動する。
私は馬小屋の近くに水路を設置した。川や海などがなくても、自動で水が湧いてくる仕様みたいだ。小さめだが、馬が水を飲みやすい仕様になっている。
ついでに照明も設置すると、ヴァレリがあんぐりと口を開けて私を見ていた。
「……それも、ヌシの力か?」
「うん」
「モエギは、恐ろしい力を持っていたんだな。これは、余所の魔王が知れば放っておかないかもしれない」
「あー……」
そういえば、すでにフィオレから目を付けられている。
創世神の加護や様々な特典のおかげで、私はヌシの力に恵まれているようだった。
「少し増築して、雨宿り場所を作ろうかな」
私は群全体が収まるだけの馬小屋を用意した。
ついでに、ヴァレリに許可をもらって、近くの草原に作物を植えてみる。
草原でしか生えない作物があるかもしれない。
<畑作メニュー(草原)>
草原レタス:レベル1(草原に生えるレタス。1日で収穫できる。1株につき体力を2消費する)
草原ハクサイ:レベル1(草原に生えるハクサイ。1日で収穫できる。1株につき体力を2消費する)
草原キャベツ:レベル1(草原に生えるキャベツ。1日で収穫できる。1株につき体力を2消費する)
草原ベリー:レベル1(草原に生えるベリー。2日で収穫できる。1株につき体力を2消費する)
他の場所に比べて葉物が多い印象だ。
私はさっそく馬小屋の周りに何株かを植え、収穫は馬たちに任せることにした。
帰り道もヴァレリに送ってもらい、岩山に近い場所にも自分たち用に作物を植える。
「カルロには、私から説明しておくわ。今日は送ってくれてありがとう」
「礼を言うのはこっちのほうだ。今日だけで、俺らのレベルは倍になった。巣に水場に便利な食べ物も用意してもらったしな」
私を岩山に下ろしたヴァレリは、仲間たちのもとへ帰っていった。
同士討ちが始まってはいけないので、私はカルロやブルーノに説明しに行く。
カルロと再び顔を合わせるのは、気が重かった。