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20:魔王は何のモンスターなのか

「モエギ、こっちが新しいあなたの寝床だろう?」


 カルロに運ばれ、広いベッドの上へストンと落とされる。

 大人しく眠る体勢に入ると、カルロもいそいそと布団に潜り込んできた。

 そんな魔王の様子を見て、ちょっとだけ可愛いと思ってしまう私も絆されてしまったものだ。彼の真横に並んで、そっと眠りについた。


「おやすみ、私の大切なヌシ」


 囁かれた声は、夢の世界へ旅立った私には届かない。



 翌朝、私たちはベッドに腰掛けたままで、新たな勧誘先について話し合った。

 けれど、強いモンスターを避けると、行ける場所が限られるので中々難しい。


「馬もダメ、蛇もダメだ。別の方向へ行くしかない。平原と沼の他には峡谷があるが……」

「じゃあ、そこにしましょう」

「だが、モエギが心配だ」


 そう言うと、カルロはまた私を腕の中へおさめる。

 首元に彼の吐息が掛かり、思わず「ひゃっ」と声を上げてしまった。

 人間じゃないので仕方がないが、カルロは距離感がおかしい。


「今度は勝手に行動せずにカルロの近くから離れないわ。それなら大丈夫でしょう?」

「……ああ、今度こそ、何があってもモエギを守る」

「ありがとう。あの、前から少し気になっていたのだけれど、カルロは魔王だから他のモンスターよりも強いのよね?」


 ふと漏らした私の質問内容はまずかったようで、しばらくの間沈黙が落ちた。

 ややあって、カルロが難しい表情で答える。


「普通のモンスターよりは強い。魔王とはモンスターたちを束ねる存在だからだ」


 カルロ曰く、並のモンスターはウルフ程度の強さらしい。

 魔王のレベルは100前後になるとのこと。

 若い上に長年眠っていたカルロは、まだ歴代の魔王ほどの力はないそうだ。

 彼の目が泳いでいるのは、自分の力不足に居心地の悪さを感じているからだろうか。


「だが、モエギと過ごしてから不思議なことが起こっている。レベルがものすごい勢いで上昇しているのだ」


 普通なら短期間でレベルが20も上がったりしないらしい。

 一年にレベルが1上がれば良い方とのこと。私の持つ創世神の加護が関係しているのかもしれない。

 この調子だと、世間一般の魔王に追いつけそうである。私は、別の質問をしてみた。


「あの天馬――ヴァレリは魔王の座を狙っていたわよね。前に聞いた話では、魔王じゃないモンスターも魔王になれるってことだったわ。だったら、彼にも魔王の座の奪取は可能なのね?」

「……っ!?」


 またしても、答えにくい質問だったようで、カルロは蒼い目を逸らせてしまった。

 しかも、気まずそうに頷くのみに留めている。

 さっきから様子が変だ。


「そういえば、カルロは何のモンスターなの?」


 この質問は一番まずかったようで、カルロの動きが完全停止してしまった。


「……また、今度」


 固まったまま早口で答えるカルロからは、絶対に答えないという頑なな意思が感じられる。


「何が今度なの!? 聞いちゃいけないことだった?」


 慌ただしく立ち上がったカルロは、それっきり質問には答えてくれなかった。

 仕方がないのでスマホをいじり、残りの体力でダンジョンを最大まで拡張・整備しておく。


 気力が残っているので、魔王城もいじっておいた。

 部屋の中に湯の蛇口を設置して城を私の部屋がある方向へ少し増築。LEDも一つ追加しておく。

 すると、ステータスがまた変化した。


■ステータス■P1

<ダンジョン>

ダンジョン:<名称未設定>(レベル2)

ヌシ:モエギ(レベル8)

   体力—80/80

   気力—105/105

   特性—創世神の加護(ダンジョン内・自由カスタマイズ)

   装備—

   性質—ダメージ無効(ただしダンジョン内に限る)

面積:1900平方メートル

   拡張—レベル9で可能(+100平方メートル)

地形:洞窟・岩山

<モンスター>

魔王:カルロ(レベル80)

ウルフ:ブルーノ(レベル10)


■ステータス■P2

<スキル>(レベルによりできることが増えていく仕様)

畑作:レベル6(畑で日本の作物を育てられる。四季は関係なく収穫の早さはレベルによる。消費する体力は作物によって異なる)

勧誘:レベル2(下級モンスター1体をダンジョンへ呼び寄せることができる。体力を15・気力を15消費する)

整備:レベル完(ダンジョンを整備する。体力を消費しない)

召喚:レベル4(3回限り、前世にあったもの(無機物)を1つ呼び寄せることができる。体力10・気力20消費する)

城建設:レベル2(魔王の城「小」を建設・移動する)


<城建設メニュー(初期)>

増築:城の増築(+10平方メートルにつき気力10を消費する)

移動:城の移動(1回移動につき気力を10消費する)

水道:レベル2(水道を設置する。蛇口1つにつき、水は気力10、湯は気力20を消費する)

照明:レベル2(照明を設置する。照明1つにつき、松明は気力5、電球は気力10、LEDは気力20を消費する)


 見ると、ダンジョンレベルが2に上がっている。

 そして、整備のレベルが完になり、体力を消費しなくても行動できるようになっていた。

 しかし、「結界」に関する項目は出ていない。まだ、レベルが足りないようだ。


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