15:照明をつけてみよう
魔王の部屋が完成した後、私のステータスに変化があった。
赤文字で「マップメニューが開放されました」と出ている。
よく分からないが、ステータスを探ってみた。
■ステータス■P2
<スキル>(レベルによりできることが増えていく仕様)
畑作:レベル5(畑で日本の作物を育てられる。四季は関係なく収穫の早さはレベルによる。消費する体力は作物によって異なる)
勧誘:レベル1(下級モンスター1体をダンジョンへ呼び寄せることができる。体力を15・気力を15消費する)
整備:レベル5(ダンジョンを少しだけ整備する。体力を5消費する)
召喚:レベル4(三回限り、前世にあったもの(無機物)を一つ呼び寄せることができる。体力10・気力20消費する)
城建設:レベル1(魔王の城「小」を建設する)
<城建設メニュー(初期)>
増築—城の増築(+10平方メートルにつき気力10を消費する)
水道:レベル1(水道を設置する。蛇口1つにつき、水は気力10、湯は気力20を消費する)
照明:レベル1(照明を設置する。照明1つにつき、松明は気力5、電球は気力10、LEDは気力20を消費する)
ちなみに魔王の部屋のデフォルトは、水の出る洗面台が一つと電球が四カ所だった。
「これは、設置したい場所をカメラで表示しながらタップすればいいのかしら?」
チリに聞くと、「その方法でも出来ますが、マップが開放されたので別の方法でも設置できます」と返された。
「モエギ様。試しに城建設メニューからマップモードという文字をタップし、照明を選んでみて下さい」
「わかったわ」
とりあえず、「LED」を選んでみると、画面上部にカルロの部屋と周囲の洞窟、そして下部にメニューが表示されている。
「これって……?」
「はい、これがマップ機能でございます。現場を見なくても、画面上で自由に模様替えが出来るのです。これからは、整備や畑作も現場を見なくても行えるようになります。画面上で一括管理、便利ですね!」
設置場所と設置するものが、スマホだけで指定できるようだ。
「確かに、それは便利ね」
せっかくなので、LED照明をカルロの部屋の天井へ設置することにした。
<LED>(レベルにより種類が増えていく仕様)
・置き型A:×
・平面型A:◯
・シャンデリアA:◯
天井に設置するので置き型は駄目だ。
Aとかいうのは、デザインの種類だと思われる。これからBやCが増えていくのかもしれない。
試しにシャンデリアを選んでみると、すぐに天井にかなり明るいシャンデリアが現れた。
「……すごい、意外と大きいわね」
私も驚いているが、それ以上にカルロが狼狽している。
「もっとレベルが上がると上階を作れるようになりますし、オシャレなインテリアなども色々置けるようになりますよ。魔王の部屋やモエギ様の部屋の位置を丸ごと変更することもできるようになります。頑張って下さいね!」
チリが圧力を掛けてくる、そしてカルロがキラキラした瞳で私を見てくる。
「うん……」
逃げられぬ……
とりあえず、しばらくは魔王の部屋と自分の部屋を往復する生活が待っていそうだった。
ちょっと面倒だと遠い目になっていると、不意に洞窟全体にずしんと大きな音が響き渡った。
「な、何の音?」
拡張や整備の音とは違う。
何かがぶつかったような、その衝撃で洞窟が潰れたような……そんな音だ。
そして、スマホが赤く光っている! エマージェンシーと表示されている!
(何、これ!? こんなの初めてなんだけど!)
不安に思ってチリやカルロを見ると、カルロの顔がいつになく険しい。
「侵入者だ……! モエギはここにいろ。敵の排除は魔王の役目だからな」
どこから来たのか、ブルーノもやってきてカルロの横で何かを訴えている。
「よし、ブルーノ。そこまで言うならお前も来い」
「ウォン!」
カルロたちは、一緒に洞窟の外を目指して駆けていった。