第一語 幸せを運ぶ黄色い花
皆様、はじめまして。
私は、語部と申します。
この小説では、私の聞いた、見た、考えた、様々な語り部をしていく話です。
細かい説明は差し置きまして、早速、語りましょうか。
この話は、ある女子中学生の少しぞくりとくるような、執着心の話です。
では、どうぞ。
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とある町の、とある中学校でのこと。
その中学校のあるクラスにとてもとても、黄色が好きな女の子が居りました。
その子は、持ち物は勿論のこと、身の回りの自分のモノを、周りに注意されない、常識内で黄色に染めておりました。
周りの人はその子が常識の範疇でやっていることをただただ温かい目で見守り、彼女は『黄色ちゃん』と言われ、親しまれておりました。
ある日のこと。
彼女の誕生日を祝おうと、サプライズパーティーの打ち合わせが行われました。
そして、彼女にプレゼントとして、花束をみんなで渡そう、そしてその花束は、黄色い花で一杯にしようと、話がまとまりました。
そして、彼女の誕生日の日。
楽しげなパーティーも終わりが近づき、遂に、彼女に花束を渡す時が来ました。
そして、みんなで少しづつお金を出し合って作った花束は、まるで、輝くかのような黄色い花束でした。
花束には、全て黄色の
マリーゴールド
水仙
金盞花(別名カレンデュラ)
チューリップ
を主とした、沢山の花々がありました。
渡された彼女は、驚いた後、満面の笑顔で、
「ありがとう!」
と、目に涙を浮かべながら言っていました。
そして次の日から、『黄色ちゃん』は、学校にも行かなくなり、いつの間にか、息を引き取っていました。
きっと、そこにいた人々は、
少し、歪んだその笑顔を忘れることは無いでしょう。
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以上、今回の語り部は終了です。
何故、彼女は死んでしまったのでしょうか。
そして、彼女の笑顔の歪みには、何が秘められていたのか。
それは、そこにいた誰も知らないでしょう。
それでは、また、次の語り部まで、
Au revoir