第1章3話 勝利への第一歩
今俺は、目の前で繰り広げられる戦いに唖然としていた。
火の玉は飛ぶわ、巨大な岩石は飛ぶはその他諸々様々なものが飛び交っていた。
今は戦闘訓練兼実質的な卒業の合否を決める重要な試験の真っ最中だ。
俺はそんな中、道端に小規模な落とし穴を生成し、コツコツレベル上げに勤しんでいた。勝つ確率は1%でも多いほうがいい。
少し前の俺だったらガクブル震えていたかもしれないが、俺が少し前の授業で考えたパーフェクトプラン、
名付けて!「即ご退場作戦」のおかげで、俺はもう震えることなど知らない!
この作戦は勝負の際、最初の一歩を踏み出した相手の足元に落とし穴を設置し、落ちた相手の頭上に土檻を設置し、相手を出られなくし、タイムアップを狙うというアルティメットな作戦なのだぁ!
この作戦はまさに最強、神をも討つことができる神話級の作戦じゃあぁ!
と、自分の作戦を信じないと震えてしまいそうなので
そういうことにしておく。
「次、富沢悠馬対、ゴンザレス。2人とも、前へ!」
キタァァぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「そなたが悠馬か、吹けば飛ぶような脆弱な職業だと聞いているが、まぁ、よろしく頼む」
なにこいつムカつく。
吹けば飛ぶようにって…泣くぞ、俺。
「えっと、よろしく」
「挨拶が済んだところで、戦闘…」
深呼吸、深呼吸。
「開始ぃ〜!!」
掛け声とともに俺はすぐさまゴンザレスの足元に落とし穴を生成した。ちなみに声に出しても出さなくても技は出せる。だが出した方が気分的には良い。
ゴンザレスの職業粉砕屋は、物体に触れることで粉砕させる。つまり!相手に近づかないと発動しない。落とし穴にはまるのは時間の問題。だが、油断はでき…
「のおぉ!地面が急に!!」
落ちたぁぁぁぁぁぁぁぁ!
よし!すぐさま土檻を!
「なうわぁ!上から檻がぁ!」
プギャー、ひっかかってるひっかかってる
「どうするー、ゴンザレスさーん、認める?負けを認める?」
「お前!卑怯だぞ!」
「卑怯じゃないですぅ〜、あなたの言うぅ、吹けばとぶような職業ではこう言うことしかできないんですよぉ〜」
「貴様ぁ〜!」
クラス中が絶句していた、あまりのウザさに。
それから30分程過ぎた時、先生からの合図がかかった。
「制限時間終了!状況から見て、富沢悠馬の勝利!」
イェーイ!ジャー◯ティス!
勝ったぜ!勝った勝った勝ったぜ〜
悠馬くん大勝利!
「えー、1回戦目を勝利した富沢君は、2回戦目、春風みどりさんと対戦してもらいます。」
春風みどりって一回戦目で火の玉飛ばしてた奴だよな。
………まぁ、大丈夫でしょ。俺のパーフェクトプランもあることだし、楽勝だわさ〜
俺は調子に乗っていたのだ、一回戦目で楽々勝ってしまい、調子に乗っていたのだ。
これが、とてつもない後悔を生み出すことになることになろうとは、俺はまだ気づくよしもなかった。