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最前線への誘い

15日は連続投稿の日(嘘ですごめんなさい

  

 ゲイルさんの厚意で最前線ツアーに参加させてもらう事になり、あらゆる雑貨や道具の中から武器になりそうなモノをインベントリに突っ込んでいく。

 それと共に色々な料理に酒も入れておき、現地での食事ぐらいは提供しようと思ったのだ。

 後は珈琲の採取もやれるとあって、容器も色々に準備しておいた。

 実は今、宅配サービスなるものをする人が居て、NPCに相手にされないオレとしてはかなり重宝している。

 資金は何かと増える一方なので、そういうところで消費するようになる。


 毎月10万の指名料で優遇となり、唐突に頼んでも大抵はすぐに配達してくれる。

 もちろん、毎回の運搬費用は取られるものの、すぐに必要な場合、かなり助かると言っていい。

 今回も必要なモノあれこれをメールで送り、代行購入で配達してくれる事になる。

 もっとも、オレの場合、運搬費用とは別に酒を渡す事になっている。

 だからこそ余計に優遇されるようで、他の優遇者よりも優遇しているらしい。

 まあそんな裏道もつい先日、他の奴にバレたから付け届けが多くなるかも知れないが、彼は呑み助だから酒じゃないと優遇してくれないぞ。


「よし、来たな、コウ」

「よろしくお願いします」

「武器が持てないんだろ、見ていれば良いさ」

「防具も使えないんだってね、防御魔法は掛けるけど、注意してね」

「おいおい、お前ら、こいつをそう弱者に見ると失敗するぞ……ガーン」

「いきなり叩くって酷い」

「おい、防具は無理なんじゃないのか? 」

「はっはっはっ、こいつの鎧は寸胴鍋だ」

「あはははっ、あ、ごめん。だけど、発想が凄いわ」


 魔物近くの木にするすると登り、そこから高圧水鉄砲でエチルアルコールをぶちまける。


「あれがエチルアルコールか」

「試しに火を点けてみてくれ」

「はーい……逆巻く炎よ、敵を殲滅せよ、ファイヤーストーム」

「うおおお、まるで上級魔法だぜ」

「これは凄いわ。かなーりMPの節約になりそうね」

「あいつはエチルアルコールをかなり持っているはすだ。必要で頼んでみろ」

「助かるわ。ここの敵ってMPの消耗酷くってさ。あれなら初級魔法でもやれそうね」


 燃え盛る魔物はふらふらと、木の根元にやって来る。


『フォールディング・フライパン・アタック~』


 両手にフライパンを持ち、縦にして魔物の頭に叩き付けるように飛び降りる。

 それが止めになったのか、光の柱になって消えていく。


「おいおい、何とも面白い戦いだな」

「何あれ、オリジナルスキル? 」

「いいねぇ、こういう戦いも」


 そのうちスライムみたいな敵に遭遇するも、妙に緊張している面々。

 おっかしいな、スライムと言えば普通は雑魚扱いなんだけど、ここの魔物は違うのかな。


「また厄介なのが出たな」

「物理無効、魔法無効って、どうすりゃ良いのよ」

「またタコ殴りにするしかあるまい」

「あれ、武器の耐久を相当削られるから嫌なのよね」


 どうやら強敵のようで、オレは今、昼に備えて焚き火でフライパンを熱している最中。

 獣脂を表面で溶かしていたんだけど、余ったからスライムに食わせてやろうとそのまま振り下ろす。

 獣脂の溶けたのがスライムに降りかかり、それをそのまま消化しようとして……あれ、溶けたぞ。


「お前、何をした」

「アツアツの脂を食わせた」

「そうか、中からならいけるのか」

「よし、もっと食わせてみてくれ」


 耳付きのフライパンで獣脂を大量に溶かし、スライムにぶちかける。

 消化しようと吸収する過程で、高熱の脂でスライムの中が焼けていく。

 苦しむスライムは形を色々に変えた後、水溜りのように変化して光の柱になる。


「おお、あれでいけるのか、成程な」

「やりましたね、ゲイルさん。これで攻略が楽になりますよ」

「コウ、お手柄だ」

「偶然って怖いね」

「ありがたいよ、本当に」

「さて、飯にするか」

「「「「「おー」」」」」


 インベントリの料理とは別に、肉を焼いて皆に振舞う。


「おいおい、肉はありがたいが、料理があれば肉は焼かなくても良いんだぞ」

「いやぁ、このフライパンってさ、武器と調理道具の境目っぽいからさ、時々肉を焼いてないと武器になりそうで」

「ああ、再分類対策か、成程ね」

「けどこのお肉、妙に味わいが深くて……何の肉かしら」

「モーさんちのサーロイン」

「え、あのレア肉の? 」

「道理で旨いと思ったぜ。あいつは中々手に入らないんだよな」

「彼も呑み助なのかい? 」

「はいはい、その通りでございます」

「はっはっはっ、成程な」

「これの試飲をお願いします」

「あんまり強いのは拙いが……お、これはまた」

「あら、あっさりとして美味しいわね」

「狩場でカクテルってもの洒落てるな」


 ふむ、中々に高評価のようだし、こいつも商品にするか。

 これぐらいのアルコール濃度なら、狩りの合間に摂取しても良さそうだし、エール気分でカクテルか、よし、その線でいくか。

 食後も狩りに参加させてもらったり、珈琲の採取をさせてもらったり、珍しい樹木の採取をしたり、変わった野草の採取をしたりと、中々に有意義な参加になった。

 参加させてもらったうえに採取もさせてもらったからと分配は断ったものの、分配時に現物交換で酒が出る事になり、結局素材は独り占めになった。

 どうやら試作のカクテルが欲しいようで、樽ごと渡したら素材をみんな寄こしたのだ。

 後はギルドで分配するらしく、また宜しくと言って別れた。

  

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