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10÷2≠5  作者:
8/17

5±5:5+5の男の子 1st






20歳の春、中学の同窓会が開かれた。 みんなそれなりに飲んで食べて思い出話で盛り上がって。 俺も当然楽しくて、あいつを見てみれば、笑っているようだった。



二次会に誘われたが、俺は明日も仕事だからと言ってグループから離れた。 タクシーでも拾おうと駅に向かう途中、お前は後ろから追いかけてきた。




「透、帰るの?」

「ああ。 明日も仕事だし、遅くなるとしんどいし」

「そっか……」




そう言って、あいつはー 千穂は「またね」と背を向けて歩いて行った。





中学以来だから、約5年ぶり。 綺麗になったな、なんてクサイこと思ってた。 元々可愛かったけど、大人っぽさが出たと言うのだろうか。 女の子と言うより、女性と呼ぶ方がしっくりくるかな。



付き合ってたあの頃の子供っぽさは、今は無くなっていた。





§






あくる日、仲間から連絡がきた。 千穂が結婚する、との事だった。 どうやら二次会の時に本人から発表したらしい。 相手は同い年の会社員、付き合って4年程経つらしい。


俺は「それはめでたいな」とだけ仲間に送り、仕事に気持ちを切り替えた。 どうでも良くはないけれど、特に気にすることでもないと思った。 元カノが結婚したと言うことを、妬みもしないし悔しみもしない。 今度あった時にでも「おめでとう」と伝えよう。






§




駅を出て、最近見たばかりの後ろ姿に足が止まる。 辺りをキョロキョロと落ち着きのない様子だ。子供かよ、とツッコミを入れたくなる。 同窓会の時に大人っぽさが出た、なんて思ったんだけどな。




「千穂。 なにしてんだよ」

「あ。 透、やっぱりこの辺なんだね!」



どこか安心したように、千穂はこちらに歩いてきた。 どうやら俺を探していたらしいけど、探される理由が思い当たらない。 とりあえず、今俺が言うことは一つだ。



「結婚おめでとう、お幸せに」



そう言って、笑顔を見せた。



「え。あ、う、うん。 その…… が、頑張ります」



千穂はそう言って俯いた。 駅前で元カノとばったり? 遭遇して。 祝いの言葉を言って、彼女は俯いて。 ただ沈黙が続いた。 「じゃあな」と言ったのだが、千穂は「いや、その……」と言って遠回しに俺が帰るのを拒否しているようだ。 それなのに喋らないなんて、俺はどうすればいいんだよ。




「ココアでいいか? まだ寒いからホットな」

「え、な、何が?」

「座ってろ」



そう言って、駅の入り口の石段に無理やり座らせた。 このまま二人で立ったまま沈黙し続けるのは耐えられない。 とりあえず空気を変えたかった。


「……覚えてるんだね」

「なんか言った?」

「い、いや。こ、こココアでお願い!」



挙動不審な千穂に、俺は疑問を抱いた。





すみません、こちらだけ前後編となります。後編はなるべく早めに更新できるよう努めます。

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