10≦10:0の女の子
好きになったのは、君のせいですから。
大人しくって、トーク力もあんまりなくってなおかつコミュニケーションも苦手。 そんな陰で「地味子」なんて呼ばれてる私に、君が話しかけたせいではないですか。 素敵な笑顔で「おはよ!」 なんて、ずるいじゃないですか。 意識するなっていうのが無理じゃないですか。
君は誰にでもそんな態度だって、頭で理解はしていても。 恋愛初心者の私がすんなり納得するはずないじゃないですか。 ふとしたことでも嬉しくなったりするじゃないですか。 気持ちが浮き沈みしたっていいじゃないですか、これが私の初恋なんですから。
それなのに。 君には好きな人がいるなんて酷いじゃないですか。 それも私に芽生えたばかりの恋心がとても小さく見える程、君が抱いてる恋心は大きいじゃないですか。 それじゃあ八つ当たりもできないじゃないですか。 同じ片思いでも、君の気持ちには追いつけないじゃないですか。
全部分かっててもこの気持ちが消えるわけないじゃないですか。 勝ち目が0で、私が入れる隙なんてないけれど。 大事な人を想ってるのは私も君も同じなんですから。 そんな君も含めて、私は好きなんですから。
放課後一人で教室にいる君。それに気づいたから、私も忘れ物が取れないじゃないですか。 なんで悲しい顔をしてるんですか。 もしかして振られたんですか? そうだったら嬉しいな、と考えてる私は最低じゃないですか。 でもですね、成功してほしくもないのですが君が悲しむのも見たくはないのですよ。 君の笑顔に私は恋したんですから。 毎日ニコニコしろとは言いませんが、辛い表情はしてほしくないんですよ。
今からすることは、君の普段の行いとは違いますから。 君はなかなかのお人好しですから、私みたいなのに声を掛けたくらいですからね。 君のように100%の善意で動く程、私は綺麗ではありませんから。 今、この状況をチャンスと感じているんですから。 私はなかなか汚い女なんですから。
あらためて確認しますが、今からすることは君の普段の行いとは違いますから。 君みたいな100%の善意ではないですから。
恋愛初心者の、ただの100%の好意ですから。