1+1+1+……:0+1+1…… の男の子
君との出会いは帰り道。
君は違う高校の女の子。 この帰り道でしか会うことがない。 初めはお互い気にもせず、同じ方向へと帰宅してた。 そして途中の分かれ道でそれぞれ別の方向へ。 そんな日々。
最初に気にし始めたのは君の方。 後ろからついて行く形で僕が歩いてるから、ストーカーだとでも思われてしまったみたい。 誤解を解きたくて走ってみれば、それの倍近くの速度で君ははるか彼方へ。 違うのに…… なんて考えても君には伝わるはずもなく。
そこで僕は待ち伏せをした。 そしたら尚更警戒された。 「なんですか」と不審な眼差しを向けられて、僕の脆いメンタルは激しく傷ついた。 それでもめげずに「途中まで一緒に帰ろう!」 と大声で言った。 今思えば、相当大胆な行動だった。 でもその時は誤解を解くことで必死だったんだ。
2人ならんで歩く帰り道。 その間に、僕は必死に身の潔白を証明した。 家が同じ方向だと言うこと、君のことなど全く知らないこと。そんな必死さが伝わったのか、彼女はようやく警戒を解いてくれた。
そこから静かな帰り道、会話なんてあるはずもなく。 そして訪れた分かれ道。
「また明日」
そんな君の言葉に胸が高鳴った。 それから続く2人の帰り道。 そして僕の恋する気持ち。
§
降り続く雨に顔を困らせる君。 持ってた折り畳み傘を握りしめて僕はガッツポーズなんてした。
いつもより少し近い2人の距離。 わざとらしく信号は赤、これはなかなかいい雰囲気。 少し濡れた君の髪にまたまた胸は高鳴って何も話せなくなる。 そんなビビリな僕を見放すように雨はピタリと止んでしまい。 2人の距離もいつも通りに。 わざとらしく君の手に触れられてたら、僕の気持ちを伝えれたかな……
§
そんな悩める僕を、いつも邪魔する分かれ道。 でも今日は少し違う、適当な理由つけて遠回り。 君との時間を少しでも長くする僕なりの反抗だ。
君の恋愛事情を知りたくて、友達の失恋話なんてしてみた。
「まぁ、人の気持ちなんて変わっちゃうよね」
君はそう言ったけどさ。 確かに変わらないものなんてないかもしれない。 僕だって高校生になって流行りを気にしだした。 なれないワックスなんて付けてみた、ニキビなんてものを忌々しく思ったりもするようになっちゃった。 そりゃ生きてる限り変わっていくもんだろうけどさ。
それでも。 たとえ他人に否定されようとも。
この恋だけは変わらないって、信じれるんだ。
§
あの日君と出会えたこと、君に話しかけたこと。 そして今、並んで歩けること。 これはぶっちゃけ奇跡じゃないかな?
あとは君に伝えるだけ。だけど、どんな風に伝えれば君に届くんだろう?
シンプルに好きと言う? 言葉じゃなくて、ぎゅっと抱きしめる? 甘い言葉を囁いて、花束でも…… だぁぁぁぁ! どれも僕にはハードルが高い。
そんな事考えてるうちに、今日も変わらぬ分かれ道。
個人的に一番楽しく書けました。 ……いかがでしょうか?