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究極生物コタツ  作者: 吉川明人
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ネコがしゃべっとる!…③


「今オレは地球人の体の特徴やサイズに合わせて作られた文化にいる。

 いくらオレが究極生物とはいえ、初めて見る機械や道具を前にしてスムーズに行動できない。

 こういう場合にはその文化を作った生き物に協力を要請するのが最も効率的だ」

「あたしがおると便利ゆうことやな。

 せやけど、なんでなん?

 あたしまだ子どもやから、そんなに自由に動きまわれへんで。しかも今は迷子の最中なんや」

「そうかも知れん。しかし、おまえはオレを助けてくれた」

「助けた? なに? あたし知らんで」

「その装置だ、それでオレが閉じ込められていた宇宙船を照らしてくれただろう」

「あ、ひょっとしたらケータイで写真撮ったのん? あんたこの宇宙船に乗ってたん?」

 さっきの愛想ない宇宙船の画像を見せたらうなずいた。

「そうだ、そこに身動きを封じられ閉じ込められていた。

 オレは光が栄養源だ。

 そこにおまえが活力をくれる光を浴びせてくれたおかげでやつらの手から逃れられた」

「光って、これのこと?」

 写真撮ったら、ものすごう力がみなぎってくるみたい。

「そうだ。その装置からオレに活力を与える光線、高い栄養源となる波長の光が発せられる」

「光が栄養なん? よう分からへんけどケータイで撮ったら元気になる言うわけやな」

「大ざっぱに言えばそうだ。そしてそんな光を与えてくれたおまえだから信用しようと考えた。

 悪いが、今のところほかに信用できると思える地球人がいない」

「そら、さらわれた先の星のもん信用せえ言うてもなあ」

「しかしオレの目に狂いはなかった。

 おまえは短時間で状況を理解し、オレと対等に話している。信用に足る」

「あたしあんまり気にせえへんし、マンガとかでもそういうのあるからなあ。

 ほんで、あたしなに手伝ったらええの? って、元の星に戻る手伝いしかないわなあ」

「確かにそれもある。しかし、残念だがそれは叶わないだろう。

 ファリアロはオレたちが暮らす以上、地球人にとって今後も未知の星のままだ。

 現状でファリアロに向かおうとする宇宙船はないし、今度いつファリアロに向かうかの情報も入手できない。

 それよりも、オレ以外に様々な星から拉致されてきた生き物があの宇宙船に閉じ込められている。彼らをなんとか逃がしてやりたい」

「ほんならそこに捕まってる他の生きもん、檻から逃がしたらええん?」

「そんなことをすると大変なことになる。

 よく考えろ。それぞれの星から集められた生き物たちは今、暮らしていた環境とまったく違う場所に連れてこられている。

 ケージから出せば、環境の違いから最悪の場合、死に至ることもある。

 かわいそうだがケージに閉じ込めたまま元の星に戻してやらなくてはならない」

「あ、そうか。せやけどそんなんどうやってやんの?」

「あの宇宙船には自動操縦モードがあった。

 過去の航行データを解析し、各ケージを拉致された星ごとで解放するプログラムを作り、無人で発進させればいい」

「プログラムなんあたし作れへんで」

「オレの言うとおりに打ち込んでくれればいい。プログラムの作り方は先ほど情報の収集の際、理解している」

「プログラムまで作れるん? あんたスゴイなあ」

「ただ、オレの手でコンピュータへの打ち込みは困難だ。それを協力してくれ」

「あたしに打ち込み……ええで。

 ところでさっき究極生物ゆうたけど、あんたのどこが究極生物なん?」

「生き物として最高に発達しているということだ。

 これまで我々よりも発達している生き物は発見されていない」

「ほんまに?」

「今おまえとオレは会話をしている。

 これがどういうことだと思う?」

「なんでって、そら、ネコが話すんはおかしいんやろけど、宇宙人やったら話できてもええやん」

「そうではなく、なぜ拉致されてきたばかりの宇宙人が地球の言葉を話せると思う?」

「ほんまや、なんでやろ?」

 なんやしらんけど、頭抱えとる。


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