なんか出てきよった!!…①
「コタツ殿、再びツェプロドゥーファが発生し始めているのだな!」
「なんでや! おんなじ場所におんなじ時間に2個出るなん、あり得へんぞ!!」
「だが確かに……」
「かまへん! 出たもんはしゃあない。もう今度は強気でいけるで。誠恵! もいっぺん歌ってくれるか」
「ええけど……それよりコタツ、あれなんやろ?」
「なんや?」
「今ちょっと見えにくなったけどな、あそこ。チプロのできかかっとる下のとこに、変なもんあったんや」
「隕石かなんかやろ」
「そう思とったんやけど、ちゃうねん。手裏剣みたいな十字の形しとった。さっきチプロが膨張したときも同じような形のもんが飛んできたんや」
「十字? 艦長! ツェプロドゥーファのできかかっとる真下、マイナス12にどっかの星のもん来てるか?」
「いや、なにも。連合加盟なら共通信号を出すし、非加盟でもエルセコペリが見落とすことはない。あそこは『艦内』なのだな」
「ほんなら今、誠恵が言うたとこに、ミニでランダムに威嚇射撃してくれるか」
「了解なのだな」
艦長が応えたとたん、あっちゃこっちゃ、えげつない方向からビーム撃ちこまれる。
あれ? なんやあ、なんかおる!!
なんか出てきよった!!!
「よっしゃおった! 誠恵よう見つけた。艦長とらえたか?」
「機器ではまったく……しかし肉眼でとらえているのだな。
十字形でとがった翼状のものの中心を筒状のモノが貫いている。翼には球状のものが装備されている極めて小型の宇宙船だ」
そんなんよう見えるな……そやけど、手裏剣に土管が刺さっとる……イヤな形やな。
「どこのやつや?」
「どの星にも登録されていない。類似、もしくはあのデザインを採用するような星は3つ。
セダキリ、ニプトトラナサ、そして……ヘイバなのだな」
「ヘイバやと!! ……せやったら艦長、あいつヘイバのやつらや思て戦闘準備せえ」
「しかしあの星は……」
「あの星のもんやからこそ逃げ出せるやつもおる言うてるんや。
ワイがさらに出す、『戦闘コールゼロ!』できかかっとるツェプロドゥーファより先にあいつ警戒せえ、ヘイバやったらこっちがやられんぞ!!!」
「了解。戦闘コールゼロ! コタツ殿、戦闘中は……」
「分かっとる。それはプロに任せる。せやけどいつでも参戦するつもりでおれよ」
「その時がないように祈ってます」
艦長が画面から消えた。