またかいな!!…⑥
ここであたしが取り乱したらコタツ気い散らしてしまう。
あたしもガマンして黙って見とかなアカンねん。
そやけど……だんだんコタツも……ホンマに苦しいんや、うめき声出し始めた。
マルなんほとんど悲鳴に近い。
こんなん聞いてられへん。それでもあたしなんもでけへん……のやろか。
ちゃう、そんなことない。なんかあるはずや、おじいちゃんもよう言うとる。
誰でもそこに一緒におる以上は、なんか意味あるんやて。
そやったらあたしがここでできるいうたら……。
「コタツ! マル! ガンバリぃ! 絶対負けたアカン! 宇宙で一番スゴイ生きもんなんやろ!
チプロなんかに負けんといて!!」
あたしにできるいうたら応援くらいしかあらへん!
「……わ、分かっとる。このくらいでファリアロの究極生物がやられるかい!!」
「そ、そのとおりだ。我々はこのくらいでは負けない」
「あ、そや!! ケータイの光! ケータイの光浴びたら楽なるんちゃう!?」
あわててコタツらのいるほうに向けて写真撮ったけど、距離ありすぎて光届けへん。
「その装置がどうかしたのかね?」
「そうやねん艦長。コタツらこのケータイから出る光浴びたら元気になんねん」
「まさか、どのような光なのだ?」
「どっかに向けて撮ったら分かるんやろか?」
「画面に赤い光をだすのだな。それに向けて光を当ててくれれば解析するのだ」
画面のはじっこに光でたから、そこ向けて撮った。
「なるほど! これはファリアロの太陽に似た波長の光だな。
ニミツェリオリナンから代表たちに向けて光を照射するのだ」
艦長が答えた直後あっちこっちからチプロに向けて光照らされる。
「これは……誠恵か!」
「かなり楽になる。これなら続けられそうだ。感謝する誠恵殿」
「あたしちゃうで、ケータイの光分析した艦長がミニで照らしてくれとるんや」
「どっちにも感謝や。ツェプロドゥーファの誘導、絶対成功させたる!!」
「がんばってやコタツ! がんばってやマル!
がんばれ、がんばれ、がんばれー!!」
今は見た目でもチプロが早よ動いてるん分かる。もうひと息や。
あたしは必死で2人応援し続けた。
「……艦長、先ほどから気づいていたのですが……」
「報告するのだな。ツェプロドゥーファは刻一刻変化する。手遅れになってはならないのだ」
「ツェプロドゥーファの勢いが急速に衰えてきています」
「なに! 推測できる原因は?」
「光の照射と考えましたが、それ以前に一度勢力を弱めています。
誠恵殿が代表たちに向けて応援した時に一度……今も応援する度に少しずつ弱まっていきます」
「うむ、いったいどのような関係があるのだ」
「そうか誠恵! なんでもええから叫べ! 理由分からんけど、誠恵の声がツェプロドゥーファに影響しとるんや!」
エルの中にコタツの大声響き渡る。
「あたしの声? せやけど叫べって……応援やったらあかんの?」
「ええかもしれんけど、他の声の出し方とかでもっと効果的なんあるかもしれん。
なに叫んでええか分からんかったら、とりあえず歌え!!」
「う、歌あ!?」
「歌やったら継続して声聞かせられるやろ。誠恵がよう聞いてんのはeriseやったな?」
「そらerise好きやけど、せやけど歌は……」
「いけない、ツェプロドゥーファの勢力が再び増しているのだな!
このまま勢力が増せばニミツェリオリナンから届けている光が弱くなる。早くコタツ殿の言う通りにするのだな!!」
艦長が言うたとたん、またコタツらの苦しむ声聞こえてきた。
そや! あたしが躊躇してる場合やない!
ス〜〜〜ッっと息吸い込んでぇ……。
ボエ〜〜〜〜!!!
宇宙空間にメチャメチャ音痴のあたしの歌が響き渡った。