またかいな!!…④
「な、なんなん?」
「誠恵にはホンマ感謝しとる。そやからムダにするつもりないで。
誠恵のんはもちろんやし、ワイのんもや」
「なんの……話してんの?」
ものスゴ不安なってきた。
「マル! お前も絶対にムダにせん言うんやったらついて来い!
艦長、出してくれ!! 時間もったいない」
「……く、承知したのだな」
わけわからへんまま、コタツとマルが消えた思たら……窓の外におった。
「え? アカン! 苦しんでるやん、艦長お!! 2人めっちゃ苦しんでるやん!!! はよ中入れたげな!!!」
「……いや、これでいいのだ」
「なんでなん!?」
「間もなく分かるのだな」
間もなく? 窓に張りついて見とったら2人ともグタッとなった……って思たとたん、バリッ! て脱皮して、めちゃめちゃ元気なコタツとマルが出てきた。
「おっしゃ、宇宙空間に適応したで。これで大丈夫や」
そうか、どんな環境でも適応できる言うてたんや。
せやけど宇宙空間なん、適応できるん?
実際にしとるからええんかもしれへんけど……。
「誠恵、艦長、聞こえるか?」
音伝わらへんはずの宇宙からコタツの声聞こえてきた。
「聞こえている。そちらは?」
「聞こえてるけど、なんで聞こえんの?」
「今は気にすんな。聞こえとったらそれでええ」
コタツがマルをチラッと見たら、マルもうなずいとる。
なにやるんやろ……うわっ!
長いシッポで自分の背中ワシャワシャこすっとる! なんや分からへんけど、めっちゃカワイイ!
「艦長、そろそろそっから離れとけ」
「了解だな!」
「あれ、離れんの!? コタツら見えへんようになるやん」
「大丈夫だな。拡大映像を送るのだな」
窓の景色が、小さなったコタツとマルがすぐそこにいるみたいに大きになった。
2人が背中こすってるうちに、なんやパチパチ火花みたいなん出てきた。
静電気?
宇宙空間で静電気できたんやろか?
あれ? でけへんかったかな? 分からへんけど、チプロもパチパチいわしとるし、でけへんことないんやろ。
全身にパチパチが広がったところで、コタツとマル、おたがいに目配せしてチプロに向かって飛んでいく。
「なあ艦長、コタツとマル、なにしよとしてるん?」
「……現在、空間チューブ以外でたった一つだけ残されたツェプロドゥーファに対抗する方法だな。
自分自身を帯電させてツェプロドゥーファを引き寄せ誘導する作戦なのだな」
「そんなん……それってめちゃめちゃ危険やん。チプロに捕まってもたらどうするん!?」
「もちろん危険だな。究極生物とはいえ、素粒子レベルで消滅すれば生き返ることはない。
コタツ殿とマル殿の父は、ナーヤリッツア星系で発生した巨大ツェプロドゥーファを誘導しようとして消滅されたのだな。
目の前でそれを見ていながらなにもできなかったコタツ殿は、以来ずっとツェプロドゥーファの研究を続けていたのだ」
「そんなん!! 死ぬかもやのうて、死んでしまうやん!!!
ていうか、艦長! そのナーヤなんとかでコタツらのお父さん死んだん分かってて、名前出したんか!! そんなん言うたらコタツ、なにがなんでもチプロ止めよてしてくれるやんか!!」
「なぜなのだ? 過去の経験を現状に生かすことが、危機を生き延びるために重要なことではないか?」
「艦長責めんな誠恵。感情をいっさい抜きにして、現状で最適な判断ができるキラスリゴ出身なんや。
銀河最高レベルの艦隊指揮官なんやぞ」
「そ、そやけどコタツが……」
「今考えなあかんのは、ツェプロドゥーファを太陽系の外に出すことと、わいらが無事に帰ることやろ!」
「そうや。そのとおりやった。ゴメン」
「そうなのだ。コタツ殿とマル殿の行動はムダにしてはいけないのだな」
……艦長の言葉は、ちょっとくるもんあったけど、コタツが言うとった“ムダにせん”言うのは、行動だけやない。
コタツ自身とマル、ほんであたしの命のことやんか……。