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究極生物コタツ  作者: 吉川明人
22/42

またかいな!!…②


「エルの内装は特殊なもんで作られとるから、ワイの体がどっかに触っとったらコンピュータにつながれるんや。ほんで思考制御ゆうて、考えさえすれば操れる。

 地球でも戦闘機に開発されて、今は民間の航空機にも使われとるアレや。

 それに、ワイは長いことツェプロドゥーファ研究しとったんや。

 ほれ、移動させるぞ誠恵」


 またちょっとだけチプロが遠ざかる。




 ちょっとずつ、ちょっとずつ……。


 だんだんコタツも言葉少なあなって、あたしらも、ジーッて見てるだけになった。

 時々チプロから腕みたいなカミナリ伸びて、近くにおった隕石とかが消えてく。

 表面でパチパチ青白い光点滅してんのも、なんかが触って消えてく光や。


 あんなんに触られたら一瞬で終りやなあ。


 そやけど、なんぼちょっとずつ言うてもあんな大きいもんが小さなっていくんや、目で見えてたんとだいぶ違うゆうん分かったんは、そこに冥王星見えてきたからや。


 チプロがどんだけ大きいて、移動しとる距離がどんだけ遠いんか、感覚なくなっとる。


 あ、そうや。


 冥王星いうたら、初めは惑星いわれとって、21世紀にいっぺん準惑星になって外されたんやけど、270年前に、もいっぺん惑星に戻ったんや。


 ややこしい話けど、外宇宙に出るようになってから目印いうか、目標が欲しなったかららしい。

 他にも小惑星いっぱいあるけど、昔、長いこと惑星やったいううんで、ずっと人気あって世界投票で決まったんや。



 とか思てるあいだに冥王星も通り過ぎてもうた。



「艦長、いっちゃん危ないとこや。周りよう見といたってくれ」

「承知している。周囲の観測は我々に任せてツェプロドゥーファ移動に集中をするのだな」

「おっしゃ、頼むで」


「なんでいっちゃん危ないん?」

 集中しとるコタツには聞かれへんから、そばで心配そうに見守っとるマルにそっと聞いてみた。


「ここから先は彗星の子どもや微細隕石、チリ、ガスなどが取り巻く太陽系の外縁部を通過しなければならない。

 うかつにツェプロドゥーファに接近されると予想不可能な腕を伸ばしかねないだけでなく、分裂の恐れもある。

 最も神経を使う場だが、コタツ兄の誘導でエルの装備だ。問題ないだろう」


「そおっと行かなあかんゆうことやな」


 確かに窓の外、なんや浮いとるもん増えてきたな……地球でもたまに、ちっこい隕石が宇宙船に衝突する事故あるもんな。

 せやけどこんなよーさん浮いとったら当らんほうがおかしいんちゃうの?

 確かにさっきまでより青白いパチパチすんの増えたみたいやけど、そんな目立ってるわけやないし……。


「不思議そうだな。誠恵殿の考えていることはおよそ見当がつく。

 次の移動空間地点はコタツ兄の指示で、ミニの残り2機が先に掃除を済ませているのだ」

「掃除? なにそれ?」

「移動先の空間に障害となりそうな隕石は先に取り除いておくほうが安全だ。

 あまり先まで指示しても浮遊物が移動しては意味がないので2ポイント先の指示を出しながら移動させている」

「へえ〜」


 なんや複雑なんや。

 せやけど命がけや言うてたわりに静かや……このまんまチプロどっか行ってくれたらええのに。


 あれ?


 なんやろ……近くの隕石の影に一瞬、ニンジャの手裏剣みたいな十字形のなんか見えたような……。



「ツェプロドゥーファ分裂!! 全速後退!!!」


 へっ?!


 誰かが叫んだとたん、チプロが膨れてって、目の前が真っ白んなって。


 気い遠なった…………。


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