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究極生物コタツ  作者: 吉川明人
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エラいもん来よった!!…④


「そこでや、カロー代表がここ開けへんのは誠恵が宇宙船内部の環境に耐えられへんからや。

 交渉に来た以上、地球人の構造は調べてあるやろ。ワイも地球で暮らしてる以上、地球の環境に合うようにした。

 そやから地球独自のウイルス感染をおまえらに伝染うつす可能性があるんや」


「……そういう事情で、兄が納得しているのなら、そのままでいいでしょう」


「なあコタツ、この宇宙船の中ってそんな違うん?」

「空気の成分も重力の強さもぜんぜん違う。誠恵やったら2秒であの世行きやぞ」

「うわ、こわ!」


「兄、コタツというのはなんです?」

「コタツか? 地球でのワイの名前や」


「名を持ったのですか?」

「ここの文化やとそのほうが便利なんや。そや、お前も誠恵に名前付けてもらえ」


「なぜ私が地球人なんかに……」

「なんや? ちょっと見んあいだに、えらいほかの文化軽視するようになったんやなあ」


「地球人はあなたに攻撃を与えた上、連れ去ったのですよ」

「分かっとる。そやから誠恵と会うた時も地球人と誠恵を分けて考えとった。

 そや、誠恵。ケータイであいつにあの光浴びせたってくれるか?」


「う、うん。ほな撮るで」

「いったいなにを……!!! こ、これは驚いた。これほど活力が湧く光を出せるとは」


「ワイが動き封じられて、ケージに閉じ込められとった時にこれを誠恵が浴びせてくれたんや。

 おかげで拉致されとったとこから逃げられたし、ハンターの黒幕にも責任とらせることもできたんや」

「……そうでしたか。突然のことで私も頭に血が昇っていたようです。

 兄の命の恩人ならば敬意をもって接しましょう。誠恵殿、私に名を込めてください」


「へ? 名を込める?」

「ファリアロやとそう言うんや。名前は付けへん言うとったけど、特別なもんには付けるんや。

 いうてみたら命込めるんと一緒やし、込める側ちゅうんは神の代弁者くらいでないとやったらあかんことなんや」


「ほんならあたし、めちゃめちゃ簡単にコタツの名前決めてもうたやん。どうしょう……」

「かまへん。誠恵は実際、命の恩人なんや。それに気にいっとる。

 変えへんで。ほな弟に付けたってくれるか」


「う、うん」

 ……そんな大変なことやて知らんかった。


 大役やなあ、名前……そうやなあ。

 コタツて付けたんはネコが丸なるか、コバンかどっちか思たからや。

 ほんならコタツの弟やったらなんちゅう名前がええんやろ?

 そうやなあコタツで丸なるんやったら……マルク……なんや昔のドイツのお金みたいや。

 コタツもコバン言うた時に地球の価値みたいなんイヤや言うとったからイヤがるやろな。


 ほんならマルやったらどうやろ?

 それとコタツにはコタツ布団がいるし、あったかそうでフカフカなん思い出すしフトンなんかもええかも知れへん。


「なあ? あんたの名前マルかフトン、どっちかでどうやろ?」


「マルかフトン? マルとはニホン語で円形や球体を表す言葉であると同時に、完全をも意味するものでもある。

 そしてフトンは休息をとるための寝具を表すもの、フォトンにも似ていて光の基本単位となる素粒子でもあるが……。

 しかし、この場合は前者がいいだろう。私はマルと呼ばれることを望む」


「なんや難しこと言うたけど……そうする」


「ワイはなんでそんな名前思いついたんかよう分かった。

 誠恵らしいし、誠恵なりに考えとる」

「なにか? コタツ兄、マルという名には他になにかあるのですか」


「いや、気にすな。究極生物のワイららしい名前や」


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