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究極生物コタツ  作者: 吉川明人
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エラいもん来よった!!…③



「……おまえら地球の一大事とは思えん緊張感ない会話やったけど、連絡ついたで!

 交渉いったん止めて、ワイがほんまにファリアロのもんか確かめに来よる」


「ホンマに? ありがとうジーン! おかげで地球助かりそうやわ」

「よく分からないけど、次はカンサイ語を勉強しておくネ!」


 ゆうてる間に自動車くらいの宇宙船があたしらの真上で止まった。


「あ! もう来たみたいや。ごめん、切るわ。ありがとう!!」


 ケータイの電波切れた。


 そのとたん周りの景色変わって、乗りもんの中におった。


「空間移動したんや。無人で操作されとる宇宙船の中や。これから特使船の中に連れて行かれるけど、ワイがおるんや。誠恵は堂々としとれ」

「なんやこわいなあ……」


 言うてるあいだに特使船近づいて、中に入ってく。

 だいたい地球のんと似とるけど、微妙に見たことないデザインや。

 奥まで進んだとこで入った時みたいにいきなり外に出たら、ガラスケースみたいな中やった。


「まだ分かってへん異星人と会うんは未知のウイルスが混じる可能性があるんや。

 せやからおたがいに慎重にせんとあかんねん。

 この場合、銀河連合のほうが技術進んどるからこっちで検査してもうたほうが確かなんや」

「そうかあ、そら気いつけんとアカンし安心やなあ」


「その前に、そこに乗っとる耳栓みたいなもん付けとけ。

 翻訳機になっとって、ワイらのしゃべっとる話も誠恵の話も通じるようになる」

「へえ? 聞こえるんは分かるけど、あたしの話が通じるんはなんで?」


「骨振動と思考波スキャナーの相互通話……まあ、テレパシー装置とでも思とけ」

「あ〜、よう分からへんからそうする」




「確かに、間違いなく前ファリアロ代表でしたか」

 言いながらガラスの向こうから来たんは、グレイとか呼ばれてるほんまに宇宙人っぽい宇宙人や。

 宇宙人てほんまにおったんやなあ……って、コタツもか。


「カローの代表者か?」

「そうです、安心してください。地球との交渉は一時中断しました。

 しかし前ファリアロ代表が地球におられたとは……」


「まあ話せば長なるんやけどな、ようはワイは地球人のハンターに捕まって連れて来られたんや。恥ずかし話や」


「そ、それは銀河系レベルの重大な犯罪!

 ならばなおのこと、なぜ地球に止まっておられるのか?」


「いろいろあったんや。そや、先に言うとっけど、ここにおる地球人、誠恵は信用せえ。

 ワイが生きてられるんも誠恵のおかげなんや。話し通じん地球人といっしょにしたらあかんで」


「この地球人が?」


「この星は変わっとってな、政治の決定権握っとるもんより誠恵みたいに一般人のほうがまともな話できることもあるんや」

「なんと、そのような話は聞いたこともありませんが、それがこの星の文化ですか?

 それなら我々は最初から接触方法を間違えていたということですな」


「いや、それはそれで間違えてない。

 今度は話できても決定権ないんや。ややこしいやろ」


「たしかにそのような文化のもの相手では、誰に交渉すればよいのか分かりませんね」

「そこでや、銀河連合の事情も地球のこともよう分かっとるワイが間に入って交渉したる」


「それは我々としても助かります。正直なところ、地球の各地区の代表者が自分たちの利益を頑なに守ろうとして話し合いが平行線をたどるばかりで……。

 このままでは実力行使をやむを得ないところまで追い詰められていました」

「追い詰められてっていうても、ソトバ級で来られてもなあ。いきなり追いつめとるやないか」


「今回は特に強い希望があってのことで、レベル的にはまだ平和調停の猶予が残されております」

「強い希望? ソトバ級出させるなん、個人の希望でどうにかなるもんやないやろ」


「それが……」

「なんや、言いにくそうやな?」


「それが……常任理事星代表からのたっての申し入れなもので」

「ファリアロか!? ほんなら今のリーダーも来とるんやな」


「交渉現場からまもなく戻られます」



「……なあコタツ、常任理事星ってえらいん?」


「まあな。2147の連合加盟星の中でも5つの星しか承認されてへんからな。

 それより、あとは地球側のエライさん説得せなあかん。

 それは銀河連合に加盟して、責任と義務ちゃんと果たしたら、取り合う必要もないほどの利益があること分かったら応じるしかないやろ。

 地球の生きもん……人間だけやのうて、動物も植物もみんな潤うことになるんやからな」


「とりあえずみんな助かるんやな。良かった〜」

「そやけど、もうひとつ気になることできた。

 この特使船でファリアロから今のリーダーが来よったんやけどな、無理やりソトバ級の船出させたらしいねん。

 そんな攻撃的なやつと交渉するほうが大変かもしれんのや」


「コタツの星から来たんやろ、ほな大丈夫やん」

「そうなんやけどな……」




「前リーダー! 生きておられたとは!

 カロー代表、なぜ異星人警戒用ケージに入れたままにしているのだ?

 前ファリアロリーダーだと承知しているのか!」


 コタツそっくりな……ちょっと模様ちゃうファリアロ星人? が大声でカローの宇宙人怒りながら入って来た。


「おまえが今のリーダーか。気が動転すんのも分かるけど、落ち着け。

 ワイは地球人といっしょにおるねんぞ」


「はっ、そうだ。地球人は前リーダーを連れ去った野蛮な未開惑星の原住民。

 だから私はソトバ級を用意させたのだ。

 いや、しかし、なぜそんな原住民といっしょに?」


「パニクッとるな。まあええ。とりあえず攻撃的なやつやったら困る思てたけど、おまえやったら安心や。

 誠恵、紹介するワイの弟や。

 ワイがリーダーやってた時に補佐も努めてくれとったんや。

 それと先に注意しとく。

 カロー代表にも言うたけどこの地球人、誠恵は拉致されたワイを助けてくれた上にいろいろと手伝ってくれた命の恩人や。

 このままでも連合加盟の資格は充分ある。そのつもりでしゃべってくれ。

 ……なんや? 不満そうやな?」


「私は今まで地球人と交渉していました。兄の言葉でもそうそう信じられません」


「かまへん。信用できるやつもおるいうことだけ頭入れといてくれたらええ。

 ワイが捕まったとおんなじ時期にピアン方面の星から地球人のハンターらに34種77体の生きもんが捕まった事件あったやろ」


「あの後、兄以外の生き物は地球人自身の手ですべて元の星に戻された事件ですね」


「あれも誠恵が協力してくれたからできたんやぞ」


「……なるほど、それならばひとまず信用します」


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